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-支持的な場の設定-
これまでの繰り返しになりますが,場の設定は大切です.プライバシーの保てる場所を確保することはもちろんのこと,患者の話をきちんと聞くことができるよう,時間的余裕を確保しておきましょう.また患者にも「十分に時間をとっていますから大丈夫ですよ」,「わからない時はいつでも聞いて下さい」など,患者が落ち着いて話を聞き,話すことができる場にすることも大切です.
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-悪い知らせの伝え方-
患者は,病名や再発・転移など,これまでにもBAD NEWSを受け入れてきたかもしれませんが,今回は【積極的治療の中止】を伝えなければなりません.今までの治療経過をゆっくりと振り返り,患者が治療についてどう考えているかを確認します.病状についての説明では,実際の写真や検査データを用いながらわかりやすく明確に伝えるようにすると良いでしょう.
また最近ではインターネットの普及などにより,自分の病気について詳しく勉強をしている患者も多くいらっしゃいます.しかし,動揺のため混乱し,医師の話が理解できなくなってしまうこともあるかもしれません.「話の進みは速くないですか?」など常に患者に確認しながら説明することを心がけるようにします.
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-付加的状況-
【積極的治療の中止を伝える】場面では,より具体的な社会的サービスやサポート(訪問介護,ソーシャル・ワーカー,カウンセラー)や患者会などに関する情報の提供のニーズが多いかもしれません.しかし医師一人がこれらすべての情報を把握することは困難です.このため,患者には情報提供の窓口(どこに行けば詳しくわかるなど)を提供できるようにしておくと良いでしょう.
また,医学的な情報では「緩和ケア」に関することが中心になると考えられます.「医療用麻薬」などについても患者が誤解せず,安心して利用できるよう説明することが大切です.
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-安心感と情緒的サポート-
治療はつらいが,治療を止めてしまうことには不安があるという患者が多いため,このようなアンビバレントな感情を肯定し,共感することが重要です.感情の表出があっても受け止めることも大切なポイントです.今まで行なってきた治療の過程をゆっくり振り返り,その道のりを肯定することが大切です.「死んでしまうのですか」や「もうだめということですか」のような,答えにくい質問には安易に即答するのではなく,言葉の裏にある患者の感情に焦点を当て,沈黙を用いたり,共感を示す言葉で返すほうが良いでしょう.
このほか,「できないこと」だけでなく,これからも「できること」「続けられること」など,患者が希望を持てる情報も積極的に伝えるようにします.
患者の気持ちを支える言葉をかけると良いでしょう.
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