ケースカンファレンス〜トップオンコロジストはこう考える〜
日常診療で遭遇する症例を取りあげ、トップオンコロジストが治療方針を議論するケースカンファレンスをお届けします。
Special1
2018年11月開催
特別企画
「胃癌に対するがん免疫療法の治療戦略」
牧山 明資 先生
JCHO 九州病院
血液・腫瘍内科加藤 健 先生
国立がん研究センター
中央病院 消化管内科
門脇 重憲 先生
愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部砂川 優 先生
聖マリアンナ医科大学
臨床腫瘍学
おわりに
牧山最後に、先生方から本サイトをご覧の方へのメッセージをお願いします。

門脇 免疫チェックポイント阻害薬が発売されて、かなり時間が経ちました。さまざまなデータが集まりつつありますが、まだまだわからないことも沢山あります。これからもっと踏み込んで、より患者さんのベネフィットにつながる治療が生まれることを期待したいと思っています。また、このコンテンツがみなさまの理解や今後の診療に役立つことがありましたら幸いです。

加藤 今は、実際に使用しながら手応えをみるという状態にあると思いますが、やはり長期に生存が得られるなどの効果のある症例を経験しますと、免疫チェックポイント阻害薬は従来の抗癌剤とは違うことがわかると思います。効果を見極められるバイオマーカーの開発、あるいはさまざまな薬剤との併用など、今後の開発の方向性がより定まってくれば、胃癌の患者さんに対する治療法として、より確立されたものになると考えています。

砂川 免疫チェックポイント阻害薬の効果がどのような方で得られやすいのか、あるいは毒性はどのような方に発現しやすいのかなどがまだ明らかではなく、近づきがたい印象をもつ薬剤ではありますが、幸いにもすべての胃癌患者さんに使用できる薬剤です。最も重要なのは、さまざまな情報を仕入れることだと思いますので、ぜひ、本日のプレゼンテーションで得られた有益な情報を活用していただきたいと思います。それから、私自身は、特に臨床現場において、免疫チェックポイント阻害薬投与時の安全性を確保するためには、チーム医療が欠かせないと信じています。医師だけでなく、多職種でかかわっていけるようなシステムを各施設でぜひ立ち上げていただきたいと思います。

牧山どのような方に効果が期待できるのか、あるいはできないのか、本日はそのヒントがみえたかと思います。副作用マネジメントに関しても、本日先生方にご紹介いただいた症例や熱いご発表を通じて、問題点や対策などが浮き彫りになったのではないでしょうか。皆様方の明日からの臨床にきっと役立つものと確信しております。本日は長時間にわたりご討議いただき、どうもありがとうございました。
[謝辞]
本カンファレンスは、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、小野薬品工業株式会社のご支援により、開催および企画遂行をいたしました。
ここに両社に謝意を表します。
[責任編集]
本カンファレンスの記載内容はすべて、株式会社医科学出版社の責任編集のもと提供しております。
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