医療法人社団光仁会 総合守谷第一病院は、茨城県の南部にある203床の中規模病院です。「つくばエクスプレス」という高速電車が開業し、当院から一番近い駅より東京まで35分と人口増加地域ではありますが、車を5分でも走らすと、田園風景が飛び込んでくる、いわゆる田舎地方都市です。

 最近の消化器癌診療は、診断は消化器内科、手術は外科、再発して抗癌剤治療が必要になれば腫瘍内科、終末期は緩和医療科などと細分化され、それぞれ専門医により、最先端の医療を受けることが可能となっています。しかし、当院のような地方の中規模病院では、各科の専門医はおらず、外科医が一貫として、1人の患者さんの診断から、終末期まで担当しなければなりません。どちらが患者さんにとって良いことなのかどうかの判断は難しいですが、それが現実であります。2007年4月1日、「がん対策基本法」が施行されました。この法律は、一言で言えば「がん治療の均てん化」を目標とし、質の高い癌治療を日本中どこでも患者さんが受けられることを目指しています。当院での治療を希望される患者さんにも、手術治療、抗癌剤治療など癌治療のすべての段階において、最新治療を提供できるようにしたいと考えております。

 臨床腫瘍医が主体であろうと、外科医が主体であろうと、大病院であろうと、中小病院であろうと、抗癌剤化学療法はエビデンスがある標準的な化学療法を施行しなければなりません。当院もその方針で、切除不能胃癌に対してはTS-1/CDDP、大腸癌に対してはFOLFIRIおよびmFOLFOX 6を第一選択として行っています。外来での抗癌剤化学療法を推進しておりますが、電子カルテやオーダーリングシステムは導入されておらず、それらを用いたリスク管理はできません。また、人、場所が悲しいほど不足しています。様々な問題点の解決のため、当院では全てのレジメンについてクリティカルパスを導入し、インフォームドコンセントの充実や業務の効率化を図っています。患者さんに行ったアンケートでも80%の患者さんが、クリティカルパスにより安心して治療を受けられたと答えています。問題点の1つであった場所についても、外来化学療法室を造設する方向となりました。

 地方の中規模病院においても、最先端の癌治療が提供できるように、日々進歩する医療水準に遅れないよう、情報収集を怠りなく行っていきたいと考えております(でも、週1回必ず回ってくる救急当直は、かなり厳しいです……)。

:Vorin information site「VORIN関連資料」から総合守谷第一病院のクリティカルパスの例がダウンロードできます。VORINサイトの閲覧にはIDとパスワードが必要です。詳細についてはhttp://www.vorin.jp/にてご覧ください。




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