Q. 特定機能病院も「地域がん診療連携拠点病院」構想の中に組み込まれるということで、近隣医療機関との連携についての取り組みが問われています。それらを含めました今後の抱負をお聞かせください。
A: すでに近隣の医療機関には当院のレジメをお渡ししています。場合によっては投薬をお願いすることもありますし、副作用やポート管理の面からのご協力もお願いしています。
癌患者数は年々増加しており、今後は外来化学療法を大学病院や基幹病院だけで行うのではなく、地域のホームドクターに普及しなければならない時代が来ると考えています。したがって、近隣のみならず北九州全体までも視野に入れた他医療機関との連携、ネットワーク形成を推進し、各医療機関が規模、グレードに応じた何らかの癌治療を提供できるようにしていく必要があります。また、それこそが理想的な癌治療の姿ではないかと思っています。そのためにも、当院が中心になり近隣の医療機関に向けて情報を発信し、協力して治療を行っていけるように努力すべきと考えています。
インタビュアーからのコメント 瀧内先生
産業医科大学病院外来化学療法センターは、開設から約1年が経過し、レジメの登録やスケジュール管理、化学療法センター独自のカルテ作成など、組織としてのリスクマネジメントや癌治療の効率化が順調に機能していることが今回の訪問でよくわかりました。大学病院という縦割り組織のなかで、化学療法センターを中心に、各診療科横断的な癌治療のチーム作りが根付きはじめていることもお話を伺っているなかで伝わってきました。現在わが国が推し進めているがん対策の1つに「地域がん診療拠点病院」があり、病病連携や病診連携といった地域連携の充実が求められています。今回訪問した産業医科大学病院では、塚田センター長をはじめ外来化学療法センターの関係者は、院内連携のみならず地域連携にも積極的に取り組んでおられました。この産業医科大学病院が良い実例だと思いますが、今後地域がん診療拠点病院の外来化学療法センターが、地域連携を含めたこれからの癌医療の中核として、ますますその存在感を大きくしていくことは間違いないだろうと思います。