Abstract #4012

Radiofrequency ablation (RFA) combined with chemotherapy for unresectable colorectal liver metastases (CRC LM): Interim results of a randomized phase II study of the EORTC-NCRI CCSG-ALM Intergroup 40004 (CLOCC).


T. Ruers,et al.


背景と目的

大腸癌の切除不能肝転移に対し、全身化学療法に加えてラジオ波焼却術(RFA)による腫瘍制御が併用される傾向にあるが、この併用療法の前向き無作為化試験は未だ施行されていない。今回、大腸癌切除不能肝転移患者における化学療法併用RFAの安全性と有用性を標準的全身化学療法と比較・検討した。

対象と方法

肝外転移がなく、かつ肝内転移巣が9つまでの大腸癌の切除不能肝転移患者119名を対象とした。肝転移巣は造影CTにより判定した。RFAは開腹、腹腔鏡、もしくは経皮的にアプローチし(それぞれ、89.5%、1.8%、7.0%)、直径4cm未満の肝転移巣に対して超音波ガイド下に施行した。両群とも全身化学療法にはFOLFOX (L-OHP 85mg/m2 + LV5FU2) を6ヵ月施行し、2005年10月以降はbevacizumab (BV) を併用した。一次エンドポイントは30ヵ月後の生存率、二次エンドポイントはOS、PFS、安全性、QOLとした。今回の中間解析では、安全性、忍容性、PFSにおける有用性について検討した。

結果

化学療法併用RFA群では、60人中72%にあたる42人にFOLFOX + RFAを、13%にあたる8人にFOLFOX + BV + RFAを施行することができた一方、9人は(うち3人は術後合併症により)化学療法を施行できなかった。化学療法群では、59人中78%にあたる46人にFOLFOXを、22%にあたる13人にFOLFOX + BVを施行することができた。
化学療法併用RFA群の術後合併症は、肝切除後に1例の死亡を認めた。
化学療法併用RFA群は、有意にPFSを改善し(p<0.0267)、ハザード比を0.42低下させた。

結論

全身化学療法併用ラジオ波焼却術は安全に施行することができ、忍容性も良好であった。また、全身化学療法単独(FOLFOX)と比較してPFSを改善した。一次エンドポイントの30ヵ月後のOSにはまだ達していない。

コメント

切除不能大腸癌肝転移に対する全身化学療法併用のRFAの最初の前向き研究である。本試験では開腹下にRFAを施行されている症例が多く、QOLの点からは疑問が残る。また、PFSの延長は特記すべきであるが、安全性については再度検討が必要と考えられた。ラジオ波焼却術は、日本においては原発性肝癌に対して使用されており、比較的多数の肝転移に適応できる。日本においても現在大腸癌肝転移に対してもラジオ波焼却療法が積極的に施行されていると考えられ、今後我が国独自のデータを期待したい。

(レポート・コメント:高石 官均 監修:大村 健二)


大腸癌肝転移の最良の治療法が、外科切除であることは明らかである。本研究の対象となる「肝外転移がなく、かつ肝内転移巣が9つまでの大腸癌の切除不能肝転移患者」のうちに、本邦における肝切除対象症例がどの程度含まれるかは明らかではない。またRFAのうち9割が開腹ということも、本邦の現状からは多いように感じられる。しかし、肝外転移のない肝転移症例に対してはRFA、cryo-ablationなどの局所制御が重要と考えられ、一次エンドポイントであるOSに達していない本研究の最終結果が注目される。

(コメント:久保田 哲朗)