日本におけるプロスペクティブな多施設共同試験
Validation study of sentinel node mapping in gastric cancer: Prospective multicenter trial in Japan.
Yuko Kitagawa, et al.
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センチネルリンパ節(SN)の概念は、悪性黒色腫と乳癌の手術ステージ分類に革命をもたらした。SNマッピングは、個々の症例の情報を得る重要な手段であり、早期胃癌においても、外科手技を大きく変える可能性が期待される。そこで、日本センチネルリンパ節ナビゲーション外科研究会(The Japan Society of Sentinel Node Navigation Surgery; JSNNS)は、早期胃癌におけるSNマッピングの有用性を評価するため、プロスペクティブな多施設共同試験を行った。 |
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2004年8月〜2008年3月に、JSNNS参加12施設において、早期胃癌患者433例が登録された。適格基準は1)胃癌の治療歴がない、2)原発巣の腫瘍径が4cm未満、3)cT1N0M0またはcT2N0M0の早期胃癌、とした。 本試験の一次エンドポイントはSN statusに基づく転移の検出精度、二次エンドポイントはSN検出率、同定されたSN数とその分布、SN生検による有害事象であった。 |
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登録患者433例中、397例(男性264例/女性133例、年齢中央値63歳)にSN生検が実施された。SN生検による重篤な有害事象は認められなかった。 SN偽陰性4例のうち、pT2症例は2例、腫瘍径4cm以上の症例は2例であった。また、3例には、SNのリンパ流域の限られた範囲内に、リンパ節転移が認められた。 |
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以上の結果より、早期胃癌におけるSNマッピングの有用性が実証された。SN陰性の早期胃癌(cN0)においては、腹腔鏡下での最小限の胃切除、ならびにSNリンパ流域の選択的リンパ節郭清が、より侵襲の少ない外科手技として強く勧められる。 |
【関連情報】
2009年 米国臨床腫瘍学会年次集会 速報演題レポート #4518
「胃癌のセンチネルリンパ節マッピングに関するプロスペクティブな多施設共同試験」