Randomized phase III study of S-1 alone versus S-1 + docetaxel in the treatment for advanced gastric cancer (The START trial)
Yeul Hong Kim, et al.
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SPIRITS試験1) の結果により、日本では、S-1とCisplatin (CDDP) の併用療法が進行胃癌の標準治療の1つとして使用されている。しかしながら、CDDPを用いた治療は、毒性軽減の目的の水分負荷 (ハイドレーション) を行うための入院が必要となる。一方、非白金製剤であるDocetaxel (DOC) とS-1の併用療法は、外来での治療が可能であり、第II相試験において高い奏効率 (response rate: RR) と良好な生存成績が得られている2)ことから、進行胃癌の標準治療になり得ると考え、国際共同前向き無作為化比較第III相試験 (START試験) を行った。 |
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対象は、RECIST version 1.0により、測定可能病変または測定不能病変を有すると判定された進行胃癌で、化学療法歴のない患者とした。対象はS-1単独群またはS-1 + DOC群に無作為に割り付けた。各群の治療スケジュールは下記の通りである。治療は進行 (progressive disease: PD) が認められるまで継続した。
一次エンドポイントはOS、二次エンドポイントはTTPおよびRR、安全性とした。登録期間は3年、フォローアップ期間は2年とした。 |
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2005年9月から2008年9月の間に639例が登録され (S-1 + DOC群:316例, S-1群:323例)、解析対象 (full analysis set) となったのは623例 (各々310例, 313例) であった。 一次エンドポイントであるOS中央値は、S-1 + DOC群で390日、S-1群では334日であり、S-1 + DOC群のS-1群に対する有意差は示されなかった (HR=0.88, p=0.1416)。一方、TTP中央値は各々161日、126日であり、S-1 + DOC群で有意に優れていた (HR=0.74, p=0.0004)。 Grade3/4の主な有害事象としては、白血球減少がS-1 + DOC群で21.9%、S-1群では2.6%、好中球数減少が各々29%、4.2%、発熱性好中球数減少症が2.9%、0%、食欲不振が14.5%、10.2%にみられた。また、S-1 + DOC群で治療関連死1例が認められた。 |
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一次エンドポイントであるOSにおいて、対照であるS-1に対するS-1 + DOC療法の有意な延長は認められなかった。TTPおよびRRについては、S-1 + DOC群で有意に優れていた。一方、血液毒性はS-1群に比べ、S-1 + DOC群において多く認められたが、十分忍容可能であった。以上より、S-1 + DOC療法は、胃癌の新たな標準的化学療法とはならないものの、進行胃癌、特に外来化学療法としての治療オプションの1つにはなり得るだろう。 |
Reference
1) Koizumi W, et al.: Lancet Oncol. 9(3): 215-221, 2008 [PubMed][論文紹介]
2) Yoshida K, et al.: Clin Cancer Res. 12: 3402, 2006 [PubMed][論文紹介]
【関連リンク】
2007年 米国臨床腫瘍学会年次集会 速報レポート
#4514 「進行胃癌に対するTS-1単独療法対TS-1/CDDP療法の無作為化第III相試験: SPIRITS試験」
論文紹介
進行・再発胃癌に対するdocetaxel + TS-1併用療法の第II相試験 (Yoshida K, et al.: Clin Cancer Res 2006)
論文紹介
進行胃癌に対するfirst-line治療としてのTS-1 + CDDP療法とTS-1単独療法の第III相試験 (SPIRITS試験) (Koizumi W, et al.: Lancet Oncol. 2008)