転移性大腸癌の2nd-line therapyに対するイリノテカン投与法の比較第III相試験
Charles S. Fuchs, et al., J Clin Oncol 21(5), 2003:807-814
5-FU抵抗性大腸癌に対する比較試験で、イリノテカン投与が生存に有意に寄与することが示されてきた。本研究は、5-FU抵抗性大腸癌に対して2種のレジメでイリノテカンを投与して、その効果と忍容性を前向きに比較検討した多施設共同open-labelの第III相試験である。患者はイリノテカン125mg/m2を週1回, 4週間投与後2週間休薬する群(95例)と、350mg/m2, 3週毎投与(70歳以上, ECOG PS=2, 骨盤内放射線照射後患者には300mg/m2)する群(196例)に無作為に登録された。
観察期間中央値15.8カ月において、1年生存率46%対41%(p=0.42)、生存期間中央値9.9カ月対9.9カ月(p=0.43)、無増悪期間中央値4.0カ月対3.0カ月(p=0.54)であり、2つの投与群の間で有意差は認めなかった。grade 3/4の下痢が毎週投与群の36%、3週毎投与群の19%の患者で生じた(p=0.002)。grade 3/4の好中球減少が毎週投与群の29%、3週毎投与群の34%で認められた(p=0.35)。治療関連死は毎週投与群で5例(5.3%)、3週毎投与群で3例(1.6%)にみられた(p=0.12)。QOLは、2群間に有意な差を認めなかった。
以上のことから、5-FU抵抗性の転移性大腸癌患者において、イリノテカンの毎週投与と3週毎投与の効果と患者のQOLには有意な差は認められなかった。しかし、3週毎投与のレジメは、重症な下痢の頻度が有意に低く、安全性の高いことが示された。
イリノテカンの投与スケジュールが下痢の頻度と関係する可能性を示唆
5-FU抵抗性大腸癌に対する2nd-line化学療法として、イリノテカンの有用性がこれまでに報告されてきた。しかし、どのイリノテカン投与法がより優れているかの検討はなされていなかった。これはそうした疑問に答える報告である。主な有害事象は下痢と好中球減少であるが、3週毎投与では下痢の頻度が有意に少なく、安全性が高いことが示された。本邦でのイリノテカンの投与法は、毎週(100mg/m2)投与、あるいは2週毎(150mg/m2)投与法で報告と異なるため、この結果をただちに当てはめることはできない。しかし、今後イリノテカンと5-FU、oxaliplatin等との併用の投与スケジュールを考える際には、本研究の結果を考慮に入れるべきと思われる。
(化学療法科・陳 勁松)