進行大腸癌に対するoxaliplatin併用capecitabine大量間欠投与vs持続投与の第II相多施設比較試験
Werner Scheithauer, et al., J Clin Oncol 21(7), 2003:1307-1312
大腸癌に対する新抗癌剤、capecitabineとoxaliplatinは相乗効果が期待される。本試験では、この2剤の併用法におけるcapecitabineの至適投与法を検討した。
A群(持続投与法)はcapecitabine 2,000mg/m2を2週間連日投与し(day1-14)、oxaliplatin 130mg/m2(day1)を3週毎(q3wks)に投与した。B群(大量間欠投与法)はcapecitabine 3,500mg/m2を第1週と第3週に7日間連日投与(day1-7, 14-21)し、oxaliplatin 85mg/m2(day1, 14)、を4週毎(q4wks)に投与した。評価可能病変をもつ進行大腸癌89例が持続投与A群45例と、大量間欠投与B群44例に均等に振り分けられた。年齢の中央値はA群66歳, B群67歳、PS 0-1が87%、結腸癌が54例、直腸癌が35例であった。
奏効率はA群で42.2%, B群で54.5%であった。CRはともに3例(A群6.7%, B群6.8%)で、NCはA群で44.4%, B群で27.3%であった。PFS(無増悪生存期間)はA群で6.0カ月, B群で10.5カ月であり、capecitabineの大量間欠投与法が持続投与法より良好な成績であった。副作用はおおむね軽度であった。最も高頻度の副作用は骨髄抑制で、grade 3以上の好中球減少をA群16%, B群7%で認めた。血小板減少は稀であった。非血液毒性としては、下痢(A群44%, B群31%)、悪心・嘔吐(A群58%, B群62%)、末梢神経障害(A群80%, B群83%)、手足症候群(A群22%, B群31%)を認めた。他に軽度の肝機能障害、軽度の疲労感があった。大量間欠投与法はdose intensityが高いにもかかわらず、持続投与法と同程度の副作用だった。
大腸癌化学療法は奏効率50%を超える時代に!
新抗癌剤oxaliplatinとcapecitabineの組み合わせは今、最も魅力的な大腸癌に対する治療法である。オーストリアで施行された本研究はcapecitabine 3,500mg/m2大量間欠投与(1週間投与、1週間休薬)というユニークな方法で、持続投与法よりdose intensityは34%高く保てた。奏効率は54.5%と極めて優れており、副作用は同等であった。この理由として、著者らはdrug holiday(休薬期間)が十分に保てていることをあげている。いずれにしても最新の大腸癌に対する併用化学療法は50%を超える時代になった。将来に希望がもてた一方で、両薬剤とも日本製であるにもかかわらず本邦未承認であることは何とも歯痒い状況である。
(化学療法科・水沼信之)