Oxaliplatin+LV5FU2(FOLFOX4)は進行大腸癌に対するIrinotecan+FU/LV(IFL)後のsecond lineとして、LV5FU2療法、oxaliplatin単独より有効[第III相試験中間結果]
Mace L. Rothenberg, et al., J Clin Oncol 21(11), 2003:2059-2069
北米では転移進行大腸癌に対するfirst lineであるirinotecan+FU/LV(IFL)が無効となった場合、second lineとして有効な治療法がなかった。本研究ではIFLに耐性となった進行大腸癌を対象として、oxaliplatin+LV5FU2(FOLFOX4)、oxaliplatin単剤、LV5FU2の、それぞれの奏効率(RR)、time to tumor progression(TTP)、腫瘍関連症状(tumor related symptoms:TRS)の緩和を比較検討している。
投与方法として、FOLFOX4では oxaliplatin 85mg/m2と LV 200mg/m2を2時間点滴投与し、その後5-FU 400mg/m2をbolus、5-FU 600mg/m2を22時間持続投与した。第2日目はoxaliplatinを除いて繰り返した(q2wks)。oxaliplatin単剤投与はoxaliplatin 85mg/m2を2時間点滴静注した(q2wks)。LV5FU2はLV 200mg/m2を2時間点滴投与し、その後 5-FU 400mg/m2 bolus、5-FU 600mg/m2を22時間持続で投与し、これを2日間繰り返した(q2wks)。
結果、2000年11月〜2001年9月までに、北米の120施設における459例のIFL療法耐性の進行大腸癌症例が対象となり、FOLFOX4はすべての臨床効果の評価で他の2つの治療より優っていた。RRはFOLFOX4で9.9%、oxaliplatin単独で1.3%、LV5FU2で0%であった。TTPはFOLFOX4で4.6ヵ月、oxaliplatin で1.6ヵ月、LV5FU2で2.7ヵ月であった。TRS(PS、疼痛、体重減少等)の改善はFOLFOX4で33%、oxaliplatin単独で12%、LV5FU2で12%であった。FOLFOX4では有害事象が他のレジメンより強い傾向があったが予測可能で、60日以内の治療関連死には認めなかった。
oxaliplatin認可がもたらす今後の治療方針に注目
進行大腸癌に対する最も有効なfirst lineが、irinotecan+FU/LV(IFL)あるいはoxaliplatin+LV5FU2(FOLFOX4)かということに関して、近年熱心に議論されてきた。検討の結果、FOLFOX4は奏効率においてやや優り、生存期間も明らかに良好であった。しかし米国での結論は両者に差はないというものであった。その理由は、使用可能なsecond lineの違いにあると考えられている。
つまり、FOLFOX4ではPDとなった後にsecond lineとしてIFLが使用可能であり、生存期間、TTPの延長が可能であった。一方、IFLでは2002年夏までoxaliplatinが米国で認可されなかったために、有効なsecond lineがなく、生存期間、TTPが短くなったのではという推測があった。本研究はこの疑問にある意味で回答したものといえる。IFL耐性後の大腸癌症例でFOLFOX4のRRは9.9%と高くないが、second lineとしては十分と考えられ、TTPが4.6ヵ月と有意に延長していた。今後しばらくはIFL、FOLFOX4のどちらかがfirst line、PDとなれば他方をsecond lineとする方法が用いられるであろう。
(化学療法科・水沼信之)