論文紹介 | 監修:財団法人癌研究会附属病院 藤田力也(消化器内科・部長/内視鏡部・部長)山口俊晴(消化器外科・部長)

10月

進行結腸直腸癌に対する5-FU 2,600 mg/m2、毎週24時間投与±leucovorin(LV)と5-FU/LV 5日間投与のランダム化第III相比較試験:EORTC 40952研究

C-H. Köhne, et al., J Clin Oncol 21(20),2003:3721-3728

 高用量5-FU 24時間毎週投与(5-FU 24h)±LVと5-FU/LV 5日間静注法(5-FU+LV)の進行結腸直腸癌への有用性を比較した。前治療のない497例の転移性結腸直腸癌症例がランダム
化第V相試験に登録された。治療regimenは5-FU 24h±LV群では5-FU 2,600 mg/m2 24時間持続±LV 500 mg/m2 毎週投与6週連続、2週間休薬、5-FU+LV群では5-FU 425 mg/m2i.v+LV 20 mg/m2 5日間投与、28日間隔(Mayo regimen)が施行された。本試験の主目的は生存期間の確認であった。
 3年間の観察期間で3群に生存期間の中央値の差は認めなかった。(5-FU 24h+LV群:13.7ヵ月、5-FU 24h群:13.0ヵ月、5-FU+LV群:11.1ヵ月)。無増悪生存期間(PFS)中央値は5-FU 24h+LV群が有意に長かった(5-FU 24h+LV群:5.6ヵ月、5-FU 24h群:4.1ヵ月、5-FU+LV群:4.0ヵ月)。奏効率には有意差を認めなかった(5-FU 24h+LV群:17%、5-FU 24h群:10%、5-FU+LV群:12%)。grade3、4の重篤な下痢は5-FU 24h+LV群が22%であり、5-FU 24h群6%、5-FU+LV群9%より高頻度であった。逆に口内炎は5-FU+LV群で高頻度であった。血液毒性も同様で5-FU+LV群で高頻度であった。QOLは3群間で有意差は認めなかった。5-FU 24h+LV群、5-FU 24h群共に5-FU+LV群と比べ生存期間中央値に差は認めなかった。LV併用により5-FU 24h群ではPFSは延長したが、有害事象も増加した。

考察

最適な5-FU投与法を求めて 副作用面では持続投与法が適当

 高用量5-FU、24時間投与はMayo regimenと同等の奏効率で、副作用は軽度。本試験は5-FU/LV療法の中でもよく使用されるMayo clinicの5日間連続投与法と高用量5-FU 24時間投与±LVを比較した研究である。5-FUは世界中で様々な投与法が施行されている。オリジナルのRoswell park regimen、de GramontらのLV5FU2 regimen、本試験でも用いられたMayo regimen等がある。本試験の施行されたドイツでは高用量24時間、5-FU投与を好む傾向がある。5-FU 24hはPFSは延長し副作用は軽度であった。この結果からPFSをエンドポイントとしたCPT-11やoxaliplatinとの併用療法では、5-FUの急速静注法は副作用が強すぎ、LV5FU2 regimenや本療法の様な5-FU持続投与法が適当と考えられる。

(化学療法科・水沼信之)

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