進行結腸・直腸癌患者を対象としたtegafur/LV経口投与と5-FU/LV静注投与の無作為化試験
Nogué M, et al., Eur J Cancer 2005; 41(15): 2241-2249
本試験は、進行結腸・直腸癌(CRC)患者に対する一次治療としてのtegafur(FT)/LV経口投与と5-FU/LV静注投与を比較した無作為化オープン試験である。
被験者(年齢18歳以上、組織学的に確認された進行または転移性CRCであり、2方向評価可能病変を有し、KarnofskyのPS≧60、余命3ヵ月超と考えられる患者)を2群に無作為化し、FT/LV群(n=114)には28日ごとにFT 750mg/m2/日の21日間連続経口投与+LV 15mg/m2の8時間ごとの投与を行い、5-FU/LV群(n=123)にはLV 20mg/m2とその後のbolus 5-FU 425mg/m25日間の投与を行った。最初の2サイクルは4週間ごとに、以後は5週間ごとに行った。
RRはFT/LV群(27%、95%CI:19〜35%)のほうが5-FU/LV群(13%、95%CI:7〜19%)よりも有意に高かった(p<0.004)。TTP中央値はFT/LV群5.9ヵ月(95%CI:5.3〜6.5ヵ月)、5-FU/LV群6.2ヵ月(95%CI:5.4〜6.9ヵ月)であった。OS中央値はFT/LV群12.4ヵ月(95%CI:10.3〜14.5ヵ月)、5-FU/LV群12.2ヵ月(95%CI:8.9〜15.7ヵ月)であった(p=ns;FT/LV群と5-FU/LV群のハザード比=1.02)。5-FU/LV群ではグレード3/4の好中球減少の発現率が高かった(4.1% vs 0%)。非血液学的毒性は2群に同程度に発現した。
経口FT/LVは5-FU/LVと比べてRRが高く、OSは同等で、好ましい毒性プロファイルを示した。FT/LV療法はCRC患者における5-FU/LV静注に対する有効な代替療法である。
経口フッ化ピリミジン剤の第4の比較試験成績:奏効率での非劣性試験は妥当な評価法であるか?
本試験は、経口抗癌剤であるFTと経口LVの併用療法を、標準治療の1つである静注5-FU/LV療法と比較検討したものである。
2001〜2002年に相次いで報告された経口剤の非劣性試験(Capecitabine、Eniluracil/5-FU、UFT/LV)と同様の臨床試験であるが、主評価項目として「奏効率」(RR)を採用している。同等性の許容範囲を15%と広く設定し、298例を集積予定であったが、中間解析の結果、FT群がRRで優れることから248例で登録終了している。TTPやOS、有害事象でも差がないことから、5-FU/LV静注療法をFT/LV経口投与に置き換えることが可能と結論している。
転移性大腸癌での非劣性比較試験では、OSを主評価項目とすべきであり、本試験では症例数が少なく、著者らの結論は受け入れられない。また、有望な新薬が登場しており、FT自体の臨床的意義を示さなければ治療法としての意義が失われる可能性がある。
監訳・コメント:国立がんセンター中央病院 島田安博(内科・医長)