仁科:2016年末に胃癌に対するNivolumabの承認申請が行われ、早ければ今年中にも使用可能という状況のなか、Nivolumabへの期待は高まっています。標準治療不応または不耐の切除不能進行・再発胃癌患者を対象にNivolumabの有効性と安全性を検討した第III相ONO-4538-12試験では、主要評価項目のOS中央値はNivolumab群5.32ヵ月 vs. プラセボ群4.14ヵ月(HR=0.63, p<0.0001)とNivolumab群で有意な延長が認められ、12ヵ月OS率もNivolumab群26.6% vs. プラセボ群10.9%と群間差が認められました(図1)1)。また、OSサブグループ解析では5th-line以降の患者で特にNivolumabの優越性が認められ(HR=0.44)(図2)1)、サルベージラインでのNivolumab使用による予後の改善が示唆されました。また、PFS中央値はNivolumab群1.61ヵ月 vs. プラセボ群1.45ヵ月(HR=0.60, p<0.0001)とNivolumab群で有意な延長が認められ、奏効率はNivolumab群11.2% vs. プラセボ群0%(p<0.0001)と、Nivolumab群で有意に良好でした。一方、治療に関連する全有害事象の発現率はNivolumab群42.7% vs. プラセボ群26.7%で(図3)1)、Nivolumab群で発現した主な有害事象は掻よう症(9.1%)、下痢(7.0%)、皮疹(5.8%)などでした。投与中止に至った治療に関連する有害事象の発現率はNivolumab群2.7% vs. プラセボ群1.2%と低いものの、一定の割合で副作用による中止例が存在することを知っておくべきだと思います。現在、胃癌治療ガイドラインの改訂が進められていますが、Nivolumabがどのように位置づけられるのかが注目されます。