室:最後に、術後補助化学療法でのSOXの位置づけについて伺います。設樂先生はどのようにお考えですか。
設樂:S-1単剤1年間投与とOxaliplatin併用療法(SOX, XELOX)については、現時点では比較試験がないために、いずれも選択肢として考えられると思います。当院ではステージ3の患者さんには、S-1単剤による術後補助化学療法と、Oxaliplatin併用療法による術後補助化学療法のいずれも選択肢としてお話ししています。Oxaliplatin併用療法にはSOX療法を用いることが多くなってきていますが、Oxaliplatin併用による術後補助化学療法の有効性の情報が限られていることもお伝えしております。現在、日本で行われたXELOX術後補助化学療法の試験、ならびにSOX術後補助化学療法の試験に参加した症例の予後を再調査して、Oxaliplatin併用術後補助化学療法のOSやRFSを検討する観察研究を実施しています。
佐藤:当院では最近のガイドラインの動向を踏まえてXELOXに切り替えた医師が多くいる状況でしたので、SOXを多く用いていることには驚きました。しかし、SOXで始めてOxaliplatinが抜けてS-1のみで1年目指してがんばるのも自然な流れかもしれません。
沖:胃癌の周術期補助化学療法については、今後さまざまなエビデンスが登場すると考えられますので、レジメンの選択やレジメンの投与期間を含めた議論が必要になると思います。
室:免疫チェックポイント阻害剤とOxaliplatinの登場で胃癌の治療選択肢は大きく広がりました。予後改善への期待はますます高まっています。先生方、本日は貴重なお話をありがとうございました。