消化器癌治療の広場
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Quiz2 Case:結腸がん
―病名告知 進行がんの告知― 告知編
【患者シチュエーション】
 40歳女性のOさんは,看護師で,会社員の夫,中学生と小学生の娘2人の4人暮らし.既往歴に虫垂切除術(14歳時).
 1ヶ月前より腹部膨満感とひどい便秘を認めていた.最近,職場の同僚に顔色不良を指摘されたこともあり近医を受診した.その際,腹部膨満および貧血を指摘され精査目的に当院を紹介受診した.
 前回診察時,S状結腸内視鏡検査の結果からS状結腸がんが疑われることは伝えた.
【確定診断,病期診断のための検査】
 S状結腸内視鏡検査,内視鏡下生検,胸腹部・骨盤CT,腹部超音波検査,血液検査
【診断】
 S状結腸がん (cSS, cN1, cH0, cM0, cStage IIIa)
【推奨する治療】
 手術(S状結腸切除)
Question
確定診断,病期診断のための検査がひととおり終了した後,Oさんは結果を聞きに一人で来院した.面談室で挨拶をし,これまでの経過からOさん自身がどう感じているのか聞いたところ,大腸がんが疑われていることはよく理解されている様子であった.その後,「お一人で大丈夫ですか」と聞いたところ,Oさんは,夫は多忙であること,また自分も職業柄,休みがとりにくいので,今日結果を伝えて欲しい,と答えがあった.病名告知時の対応として,次のA〜Cの中でもっとも適当だと思うものをクリックして下さい.
A

「それでは検査結果ですが・・・」と前置きしたうえで,「内視鏡検査の際,採取した組織からがん細胞がみつかりました.すなわち,Oさんの病気は大腸がんです」と伝えた.Oさんは明らかに落胆した表情を見せ,うつむき加減になったので,間髪をいれず,手術により治癒も期待できることを伝え,診断根拠や治療法について,なるべく多くの情報を途切れることなくOさんに伝えた.

B

「少し残念なお話になるのですが」とOさんの心の準備を促したうえで,「内視鏡検査の際,採取した組織からがん細胞がみつかりました」と伝えた.Oさんは明らかに落胆した様子であった.長い沈黙が続いたので,「ある程度覚悟されていても,実際に“がん”と聞かされて驚かれたことでしょう.大丈夫ですか」と声をかけた.その後Oさんから説明を続けて欲しいと言われたので,なるべく専門用語を避け,Oさんの理解度を確認しながら説明を続けた.

C

「予想されていた結果かもしれませんが」と前置きしたうえで,「内視鏡検査の際,採取した組織からがん細胞がみつかりました.すなわち,Oさんの病気は大腸がんです」と伝えた.医師は,Oさんは若年で,また医療従事者なので詳しい説明が必要と考え,診断根拠を丁寧に説明していたがその途中でOさんから「ところで先生,治療は手術なのでしょう?」と問われ,「治療のことは後で話しますので今はこの説明を聞いてください」と答え,説明を続けた.