主治医として励ましの気持ちがあってのことかもしれませんが,「死にたい」と言ったHさんに対し「そんなことを言ってはいけません」とまず,否定の言葉が発せられており,【RE:感情への配慮】が出来ていないと考えられます. また,「がんばりましょう」(【RE:励ましの言葉かけ】)などの安易な励ましは,場合によっては逆効果になることがありますので、気をつける必要があります.ここでは「死にたいと思うくらいつらい」というHさんの【RE:気持ちを理解】し,【RE:共感を示す】ことが重要です.
Hさんの「死にたい」という気持ちに対し,「つらいのですね」(【RE:いたわる言葉をかける】)と,Hさんの【RE:気持ちを理解し】,その気持ちを肯定する言葉かけ(【RE:共感を示す】)ができています.さらに,ゆっくりと語りかけることで,Hさんへの深い【RE:共感を示す】ことにもつながっています.Hさんの問いかけに直接答えている訳ではありませんが,良い対応だと言えます.
Hさんの死にたいという気持ちを理解しておらず(【RE:感情への配慮】の欠如),一般論を一方的に展開しています.年長者に対して説教をしているようにも聞こえます. Hさんは本当に今,ここで「死んでしまいたい」のでしょうか? とても返事に困る質問かもしれませんが,このような言葉に対しては言葉の表面にとらわれることなく,患者の【RE:気持ちを理解】しようとする姿勢が大切です.