福井県の基幹病院の1つである福井県済生会病院では、2001年春からアメニティールーム(外来化学療法室)を開設し、14床をフル稼働して癌患者の外来化学療法を集中して行っています。開設から2006年3月末までの延べ患者数(抗癌剤投与に限る)は7,250名にのぼります。外科、内科、呼吸器内科など5診療科の癌患者が対象ですが、癌種では圧倒的に大腸癌が多くを占めています。
外科部長の宗本義則先生、専任医師である臨床腫瘍科の中山 俊先生ならびに専任の看護師、薬剤師の方々に開設の経緯、現在の運営状況、今後の方向性などについて、お話を伺いました。
Q. 院内での外来化学療法室の位置付けについて教えていただけますか。
A: 完全に独立した組織というわけではなく、各科からの依頼を受け、臨床腫瘍科の医師を中心に看護師あるいは薬剤師などによるチーム医療で外来化学療法を行っています。組織上は院長が当施設の長となっています。
Q. 開設までの経緯について、お聞かせください。
A: 元々、院長の基本方針というのが、“患者さんが快適に医療を受けられる施設にしたい”ということで、まだ外来化学療法を行っている施設がほとんどなく、そのための診療報酬も認められていなかった2001年春に現在のアメニティールームのベースとなる施設が造られました。
翌2002年2月までは、いわば準備期間で一般の点滴、補液、輸血を集中して行うスペースでした。その後、福井医科大学から臨床腫瘍科医の中山先生を迎え、さらにがん化学療法看護認定看護師の育成等を通じて施設をパワーアップしてきました。現在、月平均患者数250名で、消化器癌患者数は全体の60%以上を占めます。
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図. 臓器別のべ患者数
図. 施設見取り図