静岡県立静岡がんセンターの遠藤久美さんをご紹介します。
 遠藤久美さんは、静岡がんセンターの立ち上げに携り、静岡県庁でのがんセンター準備室時代と開院した年は通院治療センターの企画・運営、化学療法看護の責任者として活動していました。現在はがん看護専門看護師として看護支援室に籍をおき、院内外の垣根を越えて、化学療法看護を中心に活動されています。
 

  静岡県立静岡がんセンターは、2002年9月に開院した新設病院です。外来化学療法を行う通院治療センターは、開院当初から20床(ベッド10床、リクライニングチェアー10床)でオープンしました。開院したばかりの頃は、化学療法を行う患者さんが日に数名で「開店休業状態も良いことかな」とのんびり構えておりましたが、その後どんどん患者数が増え、今ではベッド数が足りずに困っているような状況です。

  患者さんが集中したときの通院治療センターは、あちらこちらでナースコールと輸液ポンプのアラームが鳴り、まさに戦場と化します。そのような状況の中で、看護師は「いかに安全・確実に化学療法を行うか」ということを常に頭においておく必要があり、そのためには様々な化学療法のレジメンに対応するための知識が必要となります。

 また、患者さんが外来で化学療法を継続していくためには、「患者さん自身(家族も含む)が自分の病気や治療のことを理解して、自宅での自己管理が行える」ことが必要になってきます。患者さんの自己管理能力が少しでも向上するように必要な教育や指導を行うことは、外来化学療法に携わる看護師の大きな役割であると思っています。教育や指導を行う際には患者さんに実行してもらわなければ意味がないので、「自宅でできそうなことを患者さんと一緒に考える」ということをいつも大事にしています。

 外来で化学療法を受けている患者さんの状況は様々ですが、治療の効果や、再発・予後について不安を抱えている患者さんがほとんどです。看護師は患者さんの気持ちに寄り添いながら、いつでもサポートできる存在であることを患者さんに伝えていく必要があります。

  などといろいろ書きましたが、入院と違って患者さんと接する時間が短い通院治療センターで、これらの役割を果たしていくのはとても難しいことです。でも、多職種と協働しながらその課題に挑戦していくことが、外来化学療法看護の醍醐味でもあり、がん看護専門看護師としての役割であるのかなと思っています。

 
 
遠藤先生から 中垣繁 先生(静岡県立静岡がんセンター)をご紹介いただきました。
 
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