静岡県立静岡がんセンターには、現在のところ、卒煙(禁煙)外来はなく、卒煙希望者への支援体制が不十分なため、薬剤師がニコチン置換療法を開始した患者さんに必要に応じて、置換療法終了までEメール・電話などにより支援しています。また、小学校などへ出向き、クイズなどを用いてタバコの有害性について理解してもらう防煙教室も開催しています。今回は卒煙支援を行っている際に患者さん側からよく聞くフレーズをご紹介いたします。
まず、非喫煙者の方(特に喫煙者と同居されている奥さん)と一緒に卒煙についてお話させていただくと、喫煙者に対して「この人はタバコをやめる気がない」や「意思が弱いからやめることができない」などとお話される方がみえます。非喫煙者にとっては、他の人が吸っているタバコの煙は傍迷惑な話であり、タバコのない環境は当然と思うため、なかなか卒煙できない人に対していらだちを感じ、このような発言をされるのでしょうか?
一方、卒煙を決意された本人からは、「病院に何度も通っていますが、先生から卒煙を勧められたことがありませんでした」と耳にします。最初は語られた方の言い訳と思っていましたが、(紹介患者さんを含めて)他の何人からも同じような事を伺います。
タバコは周知の通り、がんだけでなく、呼吸器疾患、脳・循環器疾患等への影響は言うまでもありません。喫煙者はこの事実を何となく知りつつも、きっかけもなく自ら卒煙することは難しいと思います。「先生から勧められたことがありません」と言い訳されないためにも、医療従事者から積極的に卒煙に対する強い介入を行って頂きたいと思います。
また、その場合には卒煙志望者周囲の人々の協力が不可欠です。ニコチン依存により卒煙出来ないことに対して「意思が弱い」という言葉に片づけて卒煙志望者の意欲が薄れないよう、卒煙支援は本人だけでなく、周囲の人へのタバコに対する誤解も支援対象にして頂きたいと切望いたします。
|