平野先生とは栄養管理の勉強会などでご一緒する機会があり、栄養サポートチーム(NST)をはじめとした専門分野の診療に力を注ぐ一方、職種を超えた信頼関係を地道に築く平野先生の姿勢から、私は多くのことを学びました。多職種によるチーム医療が求められる昨今ですが、煩雑な外来診療の傍ら、患者さんの視点に立った医療の提供に努める平野先生を、次にご紹介したいと思います。
 

当院は静岡県東部にある一般の病院です。救命救急センターが昨年開設され、急性期病院としての使命に燃えて職員一同がんばっています。

消化器癌診療については、肝癌の治療は当科の「売り」といえる分野で、患者様の数も多く、良好な成績が得られています。膵癌は近隣のがん専門病院開院の影響か、この1−2年やや減少傾向です。胃・大腸の消化管癌は、手術不能・再発癌でも多くは外科が担当しています。というわけで我々はベストと思われる所へ患者様を振り分けるのが一番の仕事で、直接かかわる全身化学療法は多くはありません。でも手を抜くわけにはいきません。化学療法はどんどん進歩していくし、患者様の方も知識をつけてきています。他院ではどうしているんだろう? どうするのが患者様にとって一番なんだ?! と思ったり、積み上げられたカルテの山を横目にみて、ついつい、簡単な投与法に走りそうになってしまいます。
幸い当院では薬剤部が積極的に外来化学療法に参画してくれていて、そのシステムに乗っかるかたちで効率よく化学療法を行っています。まわりに同じ目標をもった人たちがいるとわかるだけでも非常に勇気づけられます。今後、携わっている周囲のスタッフとの連携をさらに強めて、一例一例から少しでも、多くのことを学び取って次に生かしていきたいと思っています。また、NSTなどの側面からも癌診療をサポートできないかと考えています。

こうした連携の中で行われる耳学問は大事な情報入手法だと思います。先日、他院の先輩医師より、「単剤のイリノテカン(B法、150mg/m2隔週)と、FOLFIRIにおけるイリノテカン(180mg/m2隔週)でdoseが後者の方が多いのは、どうも、5FUやl-LVがイリノテカンの副作用を軽減するかららしいよ」などと聞きました。その話の本当のところはわかりませんが、そのような素朴な疑問を話し合ったりするなどの小さいことの積み重ねが大事かな、と思っています。

 
 
平野先生から鈴木英一郎先生(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)をご紹介いただきました。
 
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