以前から、K-RAS mutation症例における抗EGFR抗体(セツキシマブ、panitumumab)の治療効果が低いことが指摘されてきたが、2008年のASCOでは、
CRYSTAL試験、OPUS試験という2つの大規模臨床試験のレトロスペクティブな解析結果が発表され、大腸癌領域の話題を独占した。

K-RAS mutation症例ではセツキシマブの上乗せ効果が認められないばかりか、従来の化学療法(CRYSTAL試験:FOLFIRI、OPUS試験:FOLFOX)よりもPFSが短縮し、OPUS試験では有意差が認められた。
複数の臨床試験の結果から、大腸癌患者の4割程度はK-RAS mutationと考えられている。これらの患者に対してはセツキシマブの上乗せ効果が得られないことは明らかであり、投与を検討する際には、K-RAS遺伝子検査の実施が強く勧められる。また、K-RAS遺伝子検査の保険適用の早期実現が望まれる。