なぜFOLFOX 4なのか
瀧内:本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。さて、
日本のoncologistにとりまして待望のoxaliplatin(L-OHP)が3月に承認されました。ただ、日本における承認試験はRoswell Park
regimen(RPMI regimen)+L-OHPとして行われていたのですが、FOLFOX 4との併用という全く違った形での承認となりました。この辺りの背景につきまして、大津先生、お話しをしていただけますか。
大津:詳細は厚生労働省のホームページにも掲載されていますが、簡単にご説明しますと、L-OHPの承認申請試験として最初に単剤でのphase I およびII を、次にRPMI regimenとの併用によるphase I ・II を実施しました。それで企業側は申請を行ったわけですが、企業側が提出した承認申請書では不十分だったということです。しかし、FOLFOX regimenに代表される、infusional LV/5-FU regimenとの併用で世界的にも非常に普及している治療法ですし、国内でも未承認薬の問題などが生じていますので、海外でのエビデンスを取り入れて承認したというわけです。ただ、日本ではinfusional LV/5-FUとの併用試験は全く行われていませんので、市販後の安全性調査、全例報告を義務づけたという経緯です。
FOLFOX 4以外の他のレジメンは実施可能か
瀧内:厚生労働省の抗がん剤併用療法に関する検討委員会では、LV/5-FU、特にinfusional
5-FU regimen のAIO、de Gramont、FOLFOX 6のベースとなるsimplified de Gramontといったregimenも承認されたと聞いていますが、今回のL-OHP承認をきっかけに、これらのregimenとL-OHPを併用することは可能になったのでしょうか。
朴:今回のL-OHPの承認内容はFOLFOX
4のみです。FOLFOX 4はエビデンスとして一番信頼度の高い治療法であることは間違いないと思いますので、我々の施設でも当面はFOLFOX 4を用いざるを得ないと思っています。しかし、2週に1度2日続けて通院していただくと患者さんの負担が大きいと思いますので、将来的には2日間連続投与でなおかつL-OHP
を85mg/m2にしたmodified FOLFOX 6(mFOLFOX 6) に替えていきたいと思っています。
瀧内:外来化学療法で考えると、weeklyのAIO regimenとの併用は厳しいですか。
朴:L-OHPに関しましては神経への蓄積毒性を考慮する必要があり、biweeklyをweeklyとして使っていくと早期に神経毒性が出て治療中断に至る恐れがあります。Intergroup
N9741試験でも、biweeklyであるFOLFOX 4群でさえtime to progression とtime to treatment failure
の差が3ヵ月以上あり、神経毒性による脱落が多かったこともありますので、L-OHPをweeklyで使うのは厳しいと思います。
瀧内:藤井先生、外科医の立場から今回の承認に対してコメントいただけますか。
藤井:FOLFOX 4との併用で実施するという承認条件であり、また、今は初期の安全性試験を義務づけられている時期ですから、最初はFOLFOX 4で実施するべきだと思います。ただし、外来化学療法だと週2日通院で煩雑になるということは確かにいえます。外来化学療法実施のためには患者さんにportを挿入することも考えられますが、我々の施設では最初2泊3日で入院してもらって導入しています。あくまでも今は安全性を最重視して行っています。