消化器癌治療の広場

第16回座談会 Regorafenib承認を受けて 2013年5月13日 ストリングスホテル東京インターコンチネンタルにて

5.Regorafenibの有害事象とその対策−手足症候群

小松先生

●手足症候群の発現部位と減量・休薬

吉野:CapecitabineのHFSは手に症状が現れることが多く、Regorafenibは足に発現することが多い印象がありますが、いかがでしょうか。

西田:体重のかかるところに障害が起きるのだと思います。トラック運転手は手に発現しましたし、患者さんの生活の特徴によって障害が発現する部位が異なります。

辻:RegorafenibのHFSは、一度発現すると休薬したうえで皮が剥けるまで待つしかないという印象です。

小松:しかも、1日で起こるのが特徴です。北海道ではスコップを持って雪かきをしますが、1日の雪かきだけでも手に症状が発現しますし、長距離ドライブをしたらお尻が床ずれのようになった患者さんもいらっしゃいます。患者さんは一生懸命工夫するのですが、工夫しても別のところに症状が発現します。

吉野:HFSの発現を避けるのは難しいとなると、減量・休薬のタイミングが重要になると思います。実際には、どのタイミングで減量・休薬をするように指導したらいいでしょうか。

辻:私は「痛くなったら服薬をやめて、受診してください」と伝えています。赤みが出るより先に、疼痛が発現することが多いためです。

山崎 (健):所見より症状ということですね。

吉野:そうですね。痛みが発現したら少なくとも電話してもらって、受診してもらう必要があるでしょう。

小松:Regorafenibは減量すると効果が低下する感覚があります。したがって、痛みが発現した後に外用ステロイドを塗布し、発現部位を庇うよう指導し、それでも痛みが引かない場合に減量するようにしています。

●皮疹のコントロール

吉野:最後に、皮疹のコントロールについてお尋ねします。Regorafenibは3rd-lineまたは4th-lineが推奨ラインとなるので、抗EGFR抗体薬の投与後すぐにRegorafenibを投与する人も多いと思いますが、注意すべきところはありますか。

山崎 (直):抗EGFR抗体薬投与により、ざ瘡様皮疹・皮膚乾燥・爪囲炎などが生じている場合は、弱った皮膚に対してさらにRegorafenibによって刺激を与えることになると考えておいた方がよいのも事実です。両薬剤による皮膚障害は種類や発症機序などが異なるとはいえ、皮膚の健康な人とは違うと認識し、注意が必要だと思います。

吉野:直近に投与された抗EGFR抗体薬がRegorafenibの皮疹の危険因子になるのかは、まだ明らかになっていません。メカニズムも違うので今後の研究課題だと思います。
 これまではdrug lagがあったため、国内承認時には海外における副作用対策のデータがありました。しかし、今後はわれわれも手探りで適正なマネジメントを見つけていかなければなりませんね。

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