瀧内:本日は20050181試験のprincipal investigatorであるMarc Peeters先生をゲストにお迎えし、Peeters先生によるレクチャーと、日本の先生方とのディスカッションの2部構成でお送りします。早速ですがPeeters先生、レクチャーをお願いいたします。
Peeters:まず初めに、本日はご招待いただき感謝いたします。私からはPanitumumabの最新データと、進行再発大腸癌治療に関するいくつかのアイデアをお話ししたいと思います。
進行再発大腸癌の分野では、2004年以降、抗VEGF抗体や抗EGFR抗体などの生物学的製剤が使われるようになりました。化学療法と生物学的製剤の併用により、生存期間中央値(MST)は今や30ヵ月に達しようとしています。1st-lineにおける奏効率も60〜70%に達しています。
また、転移巣に対しては、以前よりも積極的に手術を行うようになりました。肝切除については、診断後すぐに転移巣を切除できる場合の5年生存率は48%、診断当初は切除不能でも、転移巣が縮小して切除にもっていくことができれば33%の5年生存率が得られています1)。
これからの10年間、新たな治療オプションによって、生存期間はさらに延長するものと思われます。進行再発大腸癌の治療戦略を考えるにあたって、今後は治療ラインという考え方から離れ、バイオマーカーに基づいた治療選択のアルゴリズムが形成されていくものと考えています。本日は具体的な症例をお示ししながら、その時点における治療のポイントと、Panitumumabを中心とした生物学的製剤の最新エビデンスを紹介したいと思います。