瀧内:重篤な皮膚毒性は良好なPFSおよびOSと相関することが知られていますが、先生方は皮膚毒性に対して予防的治療を行われますか。
Peeters:皮膚毒性の予防的治療が薬剤の有効性に影響を及ぼすというエビデンスはありません。おそらくこれは別の事柄であって、薬剤の効果が得られなかったとしても、それは皮膚毒性の治療が原因ではないはずです。私自身は予防的治療を行うこともありますが、大抵は症状が起きてから、早めに治療するようにしています。
馬場:治療の有効性を予測するために皮膚毒性をチェックするという考え方もあると思うのですが、どう思われますか。
Peeters:現時点で、皮膚毒性に基づいて治療継続の決定を行うのは難しいと思います。皮膚毒性の評価は主観的ですから、マーカーとして捉えるのは難しいです。
瀧内:吉野先生は予防的治療を行われますか。
吉野:STEPP試験28)に従ってミノサイクリンを治療開始と同時に6週間投与し、保湿剤も使用します。本来であれば、ミノサイクリンの投与は治療前日から始めたいところですが、保険の関係上Panitumumab投与開始日からとし、その後は担当医の判断で継続するかどうかを決めます。皮膚毒性が強い場合には、ステロイド軟膏も使用します。
馬場:私も吉野先生と同じで、STEPP試験に基づいて、皮膚毒性の予防的治療を行います。
瀧内:皮膚毒性に対しては、Peeters先生は症状が起きてから早めに対処することが多いのに対し、吉野先生、馬場先生はSTEPP試験に基づいて予防的治療を積極的に行うということで、ご意見が分かれましたね。
本座談会の目的は、Panitumumabの使用経験のない日本の先生方に向けて、進行再発大腸癌治療におけるPanitumumabの位置づけをご教授いただくことが目的でしたが、Peeters先生の素晴らしいプレゼンテーションで、その目的は果たせたのではないかと思います。また、ディスカッションも非常に有意義で、今後の実臨床の参考になりました。本日はお忙しいところお越しいただき、ありがとうございました。
