Nivolumab単剤
Kang YK, et al.: Lancet. 390(10111): 2461-2471, 2017 |
NivolumabはヒトPD-1(Programmed Cell Death-1)に対する完全ヒト型IgG4モノクローナル抗体であり、PD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との結合を阻害し、免疫応答のブレーキがはずされることにより、癌抗原特異的なT細胞の増殖、活性化・細胞傷害活性等が増強され、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。既に悪性黒色腫、非小細胞肺癌、腎細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、頭頸部癌、悪性胸膜中皮腫に保険承認を受けており、胃癌においても2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対して適応拡大された。
◆ATTRACTION-2試験1)
ATTRACTION-2試験は、少なくも2つ以上の標準化学療法が不応または不耐の切除不能進行・再発胃癌および食道胃接合部腺癌を対象とした多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化第III相試験であり、日本・韓国・台湾の3ヵ国で行われた。適格症例493例がNivolumab群とプラセボ群に2:1の割合で無作為化された。
■有効性
主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値はNivolumab群5.26ヵ月vs. プラセボ群4.14ヵ月、12ヵ月生存割合はNivolumab群26.2%(95% CI: 20.7-32.0%)、プラセボ群10.9%(95% CI: 6.2-17.0%)であり、Nivolumab群で有意な生存期間の延長を認めた(HR=0.63、95% CI: 0.51-0.78、p<0.0001)。また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、Nivolumab群1.61ヵ月、プラセボ群1.45ヵ月であり、Nivolumab群で有意な延長を認めた(HR=0.60、95% CI: 0.49-0.75、p<0.0001)。日本人サブグループ(計226例)においても、OSの中央値はNivolumab群5.4ヵ月、プラセボ群3.6ヵ月とNivolumab群でOSの延長を認めた2)。
Nivolumab群 (n=330) |
プラセボ群 (n=163) |
HR (95% CI) |
P値 | |
OS中央値 | 5.26ヵ月 | 4.14ヵ月 | 0.63 (0.51-0.78) |
<0.0001 |
PFS中央値 | 1.61ヵ月 | 1.45ヵ月 | 0.60 (0.49-0.75) |
<0.0001 |
■安全性
Grade 3以上の有害事象はNivolumab群/プラセボ群において、10%/4%に認められた。そのうち死亡につながる治療関連有害事象はNivolumab群2%(急性肝炎、心停止、原因不明の死亡、労作時呼吸困難、肺炎)、プラセボ群1%(消化管穿孔、突然死)で認められた。また、治療中止につながる有害事象はNivolumab群3%(間質性肺疾患、急性肝炎、心停止、原因不明の死亡、労作時呼吸困難、筋力低下、肺炎)、プラセボ群2%で認められた。
レジメン解説執筆:国立がん研究センター中央病院 消化管内科 今関 洋 先生
References
GI cancer-net
消化器癌治療の広場