演題速報レポート American Society of Clinical Oncology 48th Annual Meeting 2012 June 1st-5th at CHICAGO,ILLINOIS

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現地座談会

大腸癌に関する注目演題

2nd-lineの新たな治療選択――BBP、Aflibercept、Panitumumab

#3505:VELOUR試験

TML試験とOSのハザード比は同等。BBPと異なる“何か”は検出されるか

結城先生室:次は2nd-lineにおけるFOLFIRI±Aflibercept療法を比較したVELOUR試験です。結城先生、概要をご説明ください。

結城:今回は1st-lineでのBev使用の有無に焦点を当てて報告されました。その結果、Bevの使用歴にかかわらず、FOLFIRI+Aflibercept療法がOSとPFSを改善する傾向を示しました[図4]。また、Bevの使用歴がAfliberceptの安全性に影響を与えないことも示されました。

室:寺島先生、コメントをお願いします。

寺島:今回の発表はESMO 2011とまったく同じ内容でしたね16)。本試験のBev使用例とTML試験のBBP群とを比較すると[表2]、OSのハザード比がBBPで0.81、Aflibercept併用では0.862、PFSのハザード比もそれぞれ0.68と0.661でほとんど差がありません。ただ、全体の有害事象をBBPと比較すると、Aflibercept併用のほうが蛋白尿、高血圧、血栓塞栓症が多くなっています。以上を総合すると、2nd-lineではFOLFIRI+Aflibercept療法よりBBPのほうが使いやすいのではないかという印象を受けました。

吉野:VELOUR試験のFOLFIRI+Aflibercept群ではFOLFIRIの毒性が上がり、下痢と疲労が強くなっていますが、BBPではそれがみられないのも利点の1つです。リスク対ベネフィットの点からはBBPのほうが支持されます。

寺島:消化管穿孔はAfliberceptのほうが少ないのではないですか。

室:確かに今回のVELOUR試験では、消化管穿孔の頻度が若干少ない印象がありますね。

吉野:Bevも消化管穿孔の頻度は低く、日本の市販後調査では1.3%、海外でも2-3%程度です。症例選択も含め、VEGF阻害薬の使い方に慣れてきたというのもあるでしょうね。AfliberceptはまもなくFDAで承認されるはずですが、どのラインで使われることになるかはまだわかりません。唯一のエビデンスが、この2nd-lineでのFOLFIRIとの併用です。

山﨑:AfliberceptとBevは同クラスの薬ですが、VEGFの阻害作用はAfliberceptのほうが強く、またPlGFを抑える作用もあるとされています。TML試験の結果が出たことで、今後はselectionされた集団でより高い効果を示すなど、Bevにはないメリットが出てこないと使い方が難しいと思います。

Lessons from #3505

  • Bevの使用歴にかかわらず、FOLFIRI+Aflibercept療法により、OSおよびPFSの改善傾向が示された。
  • TML試験のBBP群との比較では、FOLFIRI+Aflibercept療法では蛋白尿、高血圧、血栓塞栓症の頻度が高く、またFOLFIRIの毒性を強める可能性が示唆された。
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