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大腸癌に関する注目演題
切除不能大腸癌既治療例に対する新規薬剤の検討
#3502:CORRECT試験
切除不能進行再発大腸癌のサルベージラインにおけるRegorafenibの第III相試験
室:続いてRegorafenibのCORRECT試験です。山﨑先生、概要をご紹介ください。
山﨑:すべての標準治療に抵抗性となった患者に対して、経口マルチキナーゼ阻害薬のRegorafenibとプラセボを比較しました。KRAS 野生型症例ではCetuximab、Panitumumabも不応です。その結果、主要評価項目のOSはプラセボ群で5.0ヵ月、Regorafenib群では6.4ヵ月と有意に延長し (HR=0.77, p=0.0052)[図10]、PFSも有意に延長しました (p<0.000001)。サブグループ解析では前治療歴、KRAS statusなどを含め、総じてRegorafenib群が良好でした。
小松:Regorafenibは大腸癌領域では初めてポジティブとなった低分子化合物です。Sunitinibなどの類似薬剤がすべてネガティブであったなかで優越性が示せた背景には、戦略のよさがあったと思います。多剤併用でフロントラインにもっていきがちなところを、サルベージラインに単剤でもっていきました。5月23日にFDAに申請されたということですから、近い将来、日本でも使えるようになると思います。我々も本試験に参加しましたが、かなり長期投与できた症例もあると聞いています。
室:有害事象の管理ではどういった点に注意が必要ですか。
小松:手足症候群は必発ですが、Sunitinibに比べて倦怠感が少ない印象です。ほかに高血圧なども発現します。治療開始後は状態をみながら、必要に応じて用量調節をするのもよいと思います。1~2段階減量してから、再び増量することもできます。切れがよく、3週服用1週休薬のスケジュールも継続を容易にしています。
室:適切な用量調節をしながら毒性管理をしていくことが肝要だということですね。日本でも来年には承認されると思いますので、期待したいところです。