演題速報レポート American Society of Clinical Oncology 48th Annual Meeting 2012 June 1st-5th at CHICAGO,ILLINOIS

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現地座談会

大腸癌に関する注目演題

術後補助化学療法、日本と欧米からの最新報告

#3524:JCOG 0205試験

Stage III結腸癌の術後補助化学療法としてのUFT/LV vs. 5-FU/LV (RPMI) の比較

室:続いて、大腸癌の術後補助化学療法に移ります。最初はJCOG 0205試験32)の最終報告です。岩本先生、概要をご紹介ください。

岩本:Stage III大腸癌術後患者に対するUFT/LVと5-FU/LV (RPMI) とを比較した試験です。3年DFSはRPMI群で79.3%、UFT/LV群では77.8% (HR=1.016)、5年OSはそれぞれ88.4%、87.5% (HR=1.055) であり、RPMI群に対するUFT/LV群の非劣性が証明されました[表4]。全体のstage別の3年DFSは、stage IIIAが91.6%、IIIBが79.7%、IIICは62.6%でした。

大村:NSABP C-06試験のstage III症例の5年OSはUFT/LV群が69.6%、RPMI群が71.5%ですから33)、それに比べるとかなり良好な成績でした。5年時点での死亡例を治療不成功とすると、JCOG 0205試験では12%、NSABP C-06試験では30%になります。ここにL-OHPの併用が必要かということになりますが、5-FU/LVとFLOXを比較したNSABP C-07試験34)では治療不成功の3-4%、つまり1割程度がサルベージされました。これをJCOG 0205試験に適用すると、日本の上乗せ効果は1%強という計算になります。正直なところ、1%のために全例にL-OHPを追加する必要があるのだろうかと感じました。

室:寺島先生はいかがですか。

寺島:NSABP C-06試験とJCOG 0205試験の5年OSの18%の差というのは、手術の質が違うのだと思います。日本の消化器外科医は、欧米に対してもっと「我々の手術の質は欧米より優れている」とアピールしてほしいですね。

大村先生大村:ディスカッサントはこの差について、stage migrationとbiologyの違いが関与している可能性が考えられるとコメントしていました。確かにstage migrationの問題はあると思いますが、biologyの違いという指摘はナンセンスです。

室:体格や患者背景の相違も影響を与えていると思います。手術の質に関して言えば、食道癌や胃癌では、日本と欧米とで5年OSに40%ぐらいの差がみられております。例えば胃癌手術の補助療法に関しては、この差があまりに大きく、術式も大きく異なるため、欧米のエビデンスをそのまま外挿すべきでないことは自明です。それと比べて結腸癌のこの18%の差をどのように考えますか。

寺島:結腸癌はもともと治療成績がよいので、今回の18%の差というのはかなり大きいほうだと思います。

吉野:ただ、日本の施設間差もOSで20%程度の幅があるというデータもあります。海外とは手術の質に差があることを前提とした場合、海外のエビデンスを外挿せずに日本は独自に進むのか、それとも海外のエビデンスも外挿していくのか、難しい問題です。

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