2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会 特別企画座談会 切除不能大腸癌治療における分子標的薬の位置づけ

3rd-lineにおける抗EGFR抗体薬の位置づけ Discussion

馬場: 室先生のご発表に対し、質問やコメントはありますか。

Meyerhardt: 先生が実施された解析は、抗EGFR抗体薬やBevacizumabの承認前の時期も含まれていますが、3rd-lineではどのような治療を行われましたか。

室: 抗EGFR抗体薬が最も多かったのですが、そのほかはFOLFOXを再導入しBevacizumabを併用、Mitomycin-C+CPT-11療法、5-FUによる肝動注などでした。当時、抗EGFR抗体薬は3rd-lineが主流でしたが、当院では最近は2nd-lineや1st-lineでの使用も増えていますね。

Meyerhardt: 抗EGFR抗体薬の承認前の症例が含まれているにもかかわらず、3rd-lineまで治療できた症例が多いのに驚きました。後方治療に関しては、米国では裏付けとなるデータがないまま治療が行われているケースが多いように感じます。1st-line/2nd-lineでフッ化ピリミジン系薬剤を使用した症例に対し3rd-lineでCapecitabineを投与したり、CetuximabでPDとなった患者にPanitumumabを使用するケースも散見されます。今回、BBPは前向き試験によってそのベネフィットが示されましたが、支持するデータがないままに使われている薬剤が多い現状は残念に思います。

室先生

馬場: 本日は米国臨床腫瘍学会年次集会の最新のデータを参照しながら、切除不能大腸癌治療における分子標的薬の使い方について多くのことを学ぶことができました。1st-lineではBevacizumabがよく用いられていますが、特にconversion therapyでは抗EGFR抗体薬がよい適応になる場合があるということでした。また、今後2nd-lineではBBPが増えることが予想されますが、症例によっては2nd-lineで抗EGFR抗体薬を適切かつ積極的に使用し、タイミングを逃すことがないようにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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