消化器癌治療の広場

2011年 米国臨床腫瘍学会年次集会 特別企画座談会 Uniformed or Personalized? 
大腸癌の病態に応じたアプローチを考える

Opening Remarks
吉野 孝之 先生

吉野: 本日は、ドイツのClaus-Henning Köhne先生をお迎えして、「切除不能進行・再発大腸癌の治療戦略 −1st-lineにおける抗EGFR抗体薬とVEGF阻害薬の役割とは−」をテーマに、議論したいと思います。
 切除不能進行・再発大腸癌の1st-line治療において、日本ではBevacizumabが重要な役割を担っています。そして、2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会で発表されたTML試験より、2nd-lineとしてBevacizumabの継続投与がOSの延長に寄与することが示されました1)。今後、1st-lineにおいてBevacizumabは患者さんにベネフィットをもたらすか、また、Bevacizumabや抗EGFR抗体薬による1st-line治療後の2nd-lineにはどのレジメンを選択すべきかについて検討する必要があります。
 また、2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会におけるTML試験1)VELOUR試験2)CORRECT試験3)などの結果をうけて、2つのガイドラインが改訂されています。まず、NCCNガイドラインでは、2nd-line治療の選択肢にBBPとCPT-11ベース化学療法との併用によるAfliberceptが導入されました4)。そして数日前、最新のESMOガイドラインがAnnals of Oncology誌に発表されました5)。ESMOガイドラインでは、切除不能進行・再発大腸癌患者をグループ分類して (表1) 1st-line治療が決定されますが(表2)、KRAS 野生型の場合では抗EGFR抗体薬を選択することが多いようです。
 本座談会では、ESMOガイドラインの共著者であるKöhne先生とともに、欧州における現状に基づいた、今後の切除不能進行・再発大腸癌の1st-line治療について意見を交わしたいと思います。

line
      次のページへ
        座談会トップへ戻る
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved