消化器癌治療の広場

第13回座談会 Pros and Consシリーズ BBP (Bevacizumab beyond progression) は是か非か 2010年11月22日 新横浜プリンスホテルにて

Discussion

Point 3:Bevacizumabをどこで切り替えるか

●BBPの2nd-lineでは早めにPDを判定し、3rd-lineに移行する

大村先生

大村:最近は、細胞毒性抗癌剤3剤に加え、抗VEGF抗体と抗EGFR抗体を合わせた5剤を使いきることにより、OSが最長化されると考えられています。ということは、BBPを行ったとしても、どこかでBevacizumabの投与を中止しなければなりません。
 そこで、BBP肯定派におうかがいします。どのようなタイミングでBevacizumabを中止されますか。

佐藤:これは私個人の意見ですが、1st-lineではL-OHPをベースにBevacizumabを使用し、2nd-line ではCPT-11だけを入れ替えてFOLFIRI + Bevacizumabとし、CPT-11の効果を確認します。その後、PDとなった時点でBevacizumabは十分に使い切ったと判断し、3rd-lineでは抗EGFR抗体に切り替えます。これにより、有効な薬剤5剤をすべて使い切れるのではないかと考えています。

大村:PDはどのように判断されますか。

佐藤:腫瘍の再増殖がみられたときをPDとします。

大村:佐藤先生は、2nd-lineでは早めにPDと判定するということですね。同じく肯定派の吉田先生はどう思われますか。

吉田先生

吉田:BBPをいつまで続けるべきかは明らかになっていませんが、現状では1st-lineから2nd-lineにかけての継続使用になると思います。
 ただ、BBPを広い意味で捉えれば、1st-lineでBevacizumabを投与し、2nd-lineでは投与せず、3rd-lineでBevacizumabを再投与するという戦略も成り立つのではないかと思います。Bevacizumabと抗EGFR抗体の一番の違いは、抗EGFR抗体の奏効率の高さです。初回PDの時点で、がん関連症状が出ていて腫瘍縮小が必要な状況であったり、また2nd-lineでconversion therapyを狙えるような状況である場合は、2nd-lineで抗EGFR抗体に切り替えるのも1つの選択肢だと思います。その後、3rd-lineとしてBevacizumabを再投与するかどうかは、まず2nd-lineにおけるBBPの有用性が証明されてからになると思いますが、今後の検証すべき課題のひとつではないかと思います。

大村:意欲的なご意見が出ましたね。2nd-lineでconversionを狙うのは容易ではないと思いますが、積極的な姿勢で治療をしてくださるのは、外科医としても非常にありがたいと思います。

●PDに至った経過により、治療を切り替えるタイミングを変える

大村:それでは、今度は否定派の先生方にうかがいたいと思います。Bevacizumabは1st-lineのどの段階で中止すべきとお考えでしょうか。

瀧井:私はPDに至るまでの経過で判断します。Conversion therapyが狙える場合は、1st-lineでPDと判定したら、早めに次の治療に切り替えることが重要です。一方、conversion therapyを狙えない場合は、1st-lineをできるだけ長く続けたほうが全体の治療期間が延長すると考えます。したがって、Baseline PDまでは引っ張りませんが、RECIST PDより腫瘍が少し大きくなっても引っ張ります。L-OHPベースの場合は、L-OHPを休薬して5-FU/LV + Bevacizumabにし、long SDの状態を維持することもあります。

大村:BBP否定派の1st-lineでの切り替え方と、肯定派の2nd-lineでの切り替え方は少し違うかもしれませんね。松本先生はいかがですか。

松本:そもそもRECIST PDが本当に治療を切り替えるタイミングとして最適かどうかという問題があります。NCCNのガイドラインに従えば、RECIST PDが治療切り替えのタイミングになると思いますが、実臨床でいえば、瀧井先生のお話の通りだと思います。

瀧井:臨床試験ではRECIST PDで治療を切り替えますが、実臨床ではRECIST PDで替えることは少ないと思います。Baseline PDまではいかないものの、もう少し治療を続けてから切り替えるのが一般的だと思います。

 
次へ 前へ 目次
▲ このページのトップへ
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved