消化器癌治療の広場

第16回座談会 Regorafenib承認を受けて 2013年5月13日 ストリングスホテル東京インターコンチネンタルにて

1.Opening Remarks

吉野先生

吉野:2000年代に入って大腸癌の薬物療法は劇的に進歩し、治療成績が向上しました。その要因として、画像診断の進歩や新薬の導入、さまざまな併用療法の開発、KRAS 遺伝子検査のような個別化治療、conversion therapy等の新たな概念の導入などが挙げられます。また、2005年以前はdrug lagの問題がありましたが、2006年の規制当局の方針変換により、国内外を問わず第III相試験をもって日本国内で承認が取得できるようになり、大腸癌領域でも多くの国際共同治験に参画するようになりました。
 本日のテーマであるRegorafenibは、米国、スイス、カナダに次ぐ世界で4番目という早さで2013年3月25日、本邦にて承認されました。欧州より早い承認取得となり、drug lagの問題は少し前進したと思います。一方で、これまでと違い、海外での使用経験が少なく、臨床情報が乏しいなかで、どのようにRegorafenibを適正に使用していくかが課題となります。
 また、Regorafenibは消化管間質腫瘍 (GIST) に対しても優れた治療成績を示していますが、2013年4月時点でGISTの適応承認を取得しているのは米国とチリの2ヵ国です。このような希少腫瘍に対する薬剤は非常に乏しいなかで、今後どのように国内で承認され、どのように使われていくのかも重要な視点になると考えます*

*2013年8月30日、RegorafenibはGISTに対する適応追加承認を取得した。

次へ 目次
▲ このページのトップへ
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved