消化器癌治療の広場

第16回座談会 Regorafenib承認を受けて 2013年5月13日 ストリングスホテル東京インターコンチネンタルにて

7.Regorafenibの有害事象とその対策−人種、癌種別の発現状況

●日本人サブセットと全体、大腸癌とGISTによる違い

吉野:続いて小松先生には、人種および癌種別の有害事象の発現状況の違いについても解説していただきます。

小松:CORRECT試験参加者全体と日本人サブセットのデータを比較すると、若干の違いがみられます (表6)。Grade 3以上のHFSは全体では16.6%ですが、日本人は27.7%と約2倍みられています。同様に、日本人では高血圧 (6.7% vs. 10.8%) の頻度も高い一方、下痢は日本人ではあまり問題にならないようです (7.2% vs. 1.5%)。また、副作用による中止は全体では8.2%ですが、日本人では13.8%と多いです。効果が出る前に、副作用によって10%以上の人が中止しているので、医師とメディカルスタッフが協力して、副作用をうまく管理することが極めて重要になってきます。
   CORRECT試験とGRID試験の有害事象を比較しても、大きな違いはみられません (表7)。唯一違うのが高血圧で、CORRECT試験ではgrade 3以上の高血圧が7%ですが、GRID試験では23%と、3倍以上高くなっています。恐らく、GRID試験では2nd-lineでSunitinibを使用して既に高血圧になっている症例が多く、降圧薬がすぐに2剤になるため、CTCAEの分類上grade 3と判定されるのだと思われます。

吉野:GISTは前治療の影響で高血圧がすぐにgrade 3になりやすいということ以外、大腸癌の有害事象と差がないということですね。

西田:もう1つの理由として、GISTを治療している医師はARBやACE阻害剤などから使っており、これら薬剤の血圧低下効果が比較的緩やかなことから2剤併用となり、最終的に3剤併用になるのだと思います。

吉野:私もARBやACE阻害剤を第一選択にしていますが、急激に血圧が上がるような場合はCa拮抗薬を頓用して速やかに下げるようにしています。

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