●Regorafenibの大腸癌における臨床試験
吉野:最後に、Regorafenibの大腸癌における臨床試験の進行状況について、山崎先生から紹介していただきたいと思います。
山崎 (健):現在進行中の海外試験としては、アジア版のCORRECT試験であるCONCUR試験が中国を中心に行われています22)。204例が登録されていますが、こちらはBevacizumab、抗EGFR抗体薬の使用例とは厳格に限定されていないようです。
さらに、1st-lineにおけるFOLFOX + Regorafenib併用療法に関する単アーム第II相試験が、2011年2月から始まっています18)。症例数は54例、主要評価項目は奏効率で、登録は終了しています。
また、2nd-lineにおけるFOLFIRI ± Regorafenibの無作為化第II相試験が2011年2月から開始されています19)。症例数は240例、主要評価項目はPFSです。そのほか2nd-lineにおけるFOLFOX ± Regorafenibの第III相試験が韓国で組まれていたようですが、これは登録する前に終わってしまっています23)。
こうした前向き臨床試験のほかに、市販後調査も行われているようです。
吉野:Regorafenibは単剤でも毒性マネジメントに注意が必要ですが、併用療法はどうなのでしょうか。
室:1st-lineでSorafenibとFOLFOXとの併用療法を検討したRESPECT試験はnegativeでした。キナーゼ阻害剤は毒性マネジメントが大変です。
吉野:海外でもそれほど多くの試験は行われておらず、Regorafenibをどう使うかは臨床医にとって大きな課題になると思います。
国際共同臨床試験に参加するようになり、日本でのdrug lagは解消されつつあります。しかし一方で、適正に使用するための情報はわれわれが入手し共有していかなければなりません。また、GISTのような希少疾患に対しても新薬が早く使えるような環境整備も必要になるでしょう。今回の座談会がそのきっかけになればと思います。本日はどうもありがとうございました。