Peeters:抗EGFR抗体治療におけるKRAS遺伝子との相関は明白であり、抗EGFR抗体のベネフィットを得られているのは、どの治療ラインにおいてもKRAS野生型の患者だけです。
KRAS以外のバイオマーカーも検討されています。例えば、BRAF変異例では予後が悪いことから、BRAFは“抗EGFR抗体の効果予測因子”として有力視されていましたが、その後の研究により、BRAFはむしろ“予後不良因子”であることが示唆されています。
我々は、20020408試験13, 15)の腫瘍標本を入手し、次世代シーケンサーを用いて、さまざまな遺伝子変異の解析を一度に行いました。その結果、KRASコドン12および13の変異の頻度は43%15)と予想通りでしたが、KRASコドン61の変異(2.5%)、BRAF変異(7.5%)、その他の変異も検出され、EGFR変異は大腸癌では1.1%に過ぎませんでした(表7)。また、KRAS変異とBRAF変異の両方を有する患者が2例、KRAS変異とNRAS変異を有する患者が3例見つかりましたが、これは予想外の結果でした。