消化器癌治療の広場

Panitumumab座談会 what is Panitumumab?−進行再発大腸癌治療におけるPanitumumabの位置づけ

Short Lecture −進行再発大腸癌治療におけるPanitumumabの位置づけ

将来展望

Peeters:これまでに紹介した複数の試験結果から、進行再発大腸癌に対し、Panitumumabは単独および併用のいずれにおいても有効な薬剤といえます(表8)。安全性についても、抗EGFR抗体で予想される範囲のものです。完全ヒト型抗体であることからinfusion reactionの頻度が低く、予防的治療が不要で2週間に1回の投与で済み、QOLにも悪影響を及ぼしません。
 もし我々がすべての薬剤を使用できると仮定して、大腸癌における生物学的製剤を含む治療をアルゴリズムに集約してみました(表9)。進行再発大腸癌の治療戦略はKRAS statusによって変わります。KRAS変異型の場合は、1st-lineと2nd-lineには2つの選択肢(化学療法単独、または化学療法+Bevacizumab)、3rd-lineには化学療法しか選択肢がありません。ここには新薬の大きなニーズがあります。
 一方、KRAS野生型の場合は、各治療ラインにさまざまな選択肢があります。私の印象では、おそらく3rd-lineが終わっても、4th-lineを十分に受けられる状態の患者さんが存在しますので、ここにも新たな治療法のニーズがあります。
 進行再発大腸癌の領域では、直近5年ほどは新薬の臨床導入は望めません。我々が今必要としているのは、BRAFなどのバイオマーカーに関するプロスペクティブなデータです。今後は、stop and go方式、あるいはmaintenance therapyといった治療ラインを超えた戦略的な臨床試験が求められます。
 Panitumumabに関する試験では、現在、1st-lineとしてのFOLFOX+Bevacizumab vs. FOLFOX+Panitumumabを比較する第II相試験(PEAK試験)17)と、化学療法+Bevacizumab抵抗性の患者に対するCetuximab+BSC vs. Panitumumab+BSCを比較する第III相試験(ASPECCT試験)18)が進行中であり、その結果が待ち望まれます。

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