消化器癌治療の広場

ASCO 2011特別企画座談会 Uniformed or Personalized? 
大腸癌の病態に応じたアプローチを考える

Theme 1  1st-lineにおける病態に応じた分子標的治療のアプローチ

1-2 Aggressive approach―腫瘍量が多く、随伴症状を有する場合

腫瘍量が多く、随伴症状を有する症例の1st-line治療の選択は?

瀧内: もうひとつ症例を提示したいと思います。上行結腸の腺癌と診断された48歳の男性です (図8)。肝臓に広範囲の転移がみられ、腹部膨満感と疼痛を訴えています。PS 1、KRAS 遺伝子野生型です。この症例に対する1st-line治療には何を推奨されますか。

小松: 随伴症状があるので、抗EGFR抗体薬を使用したいと思います。FOLFOX / FOLFIRI + CetuximabあるいはFOLFOX / FOLFIRI + Panitumumabを選びます。

瀧内: Bevacizumabではなく抗EGFR抗体薬を選ばれたのはなぜでしょう。

小松先生

小松: 抗EGFR抗体薬のほうが腫瘍が縮小するまでのスピードが速く、高い奏効率や迅速な効果が期待できるためです。

Kopetz: 私も同感です。この症例では迅速なレスポンスが求められるため、抗EGFR抗体薬は合理的な選択だと思います。特に、胆管が若干拡張して総ビリルビン値が上昇しており、大きな仙骨転移または骨盤内腫瘤があり、仙骨に影響を与えている状況では抗EGFR抗体薬を使用します。肝転移による疼痛は種々のレジメンにかなりよく反応するので、1st-lineで抗EGFR抗体薬を使用する理由にはなりませんが、標準的な1st-lineレジメンを試みて早期にレスポンスが得られない場合は、速やかに抗EGFR抗体薬に切り替えることが重要だと思います。

瀧内: ありがとうございます。お二人とも腫瘍量が多く、随伴症状のある症例にはaggressive approachとして抗EGFR抗体薬を選択されるとのことでした。では、その根拠となるデータについて小松先生に解説していただきたいと思います。

line
前のページへ       次のページへ
        座談会トップへ戻る
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved