WEBカンファレンス | 掲載した治療法は、カンファレンス開催時点での最新知見に基づいて検討されたものです。

CASE 14 直腸癌 2006年7月開催

CASE14 写真

症例プロファイル

患者 68歳、男性
既往歴 白内障手術(58歳)、網膜剥離手術(63歳)
合併症 40歳より糖尿病、高脂血症治療中
家族歴 父親、大腸癌で死去
嗜好品 煙草(1日20本)、機会飲酒
患者の希望 患者の希望:今回の副作用については、十分に理解をしている。今後、同様の症状はこりごりではあるが、担当医を信頼しており、以後の治療についても任せたいと考えている。

【臨床診断】

  1. S字状結腸癌術後
  2. 多発肝転移(H3)

現病歴

2006年11月、貧血精査目的で近医より紹介
2006年12月、S字状結腸切除術施行(ss、ly3、v3、n(+)、P0、H3、M0、ステージIV)
2007年1月、FOLFIRI療法開始

身体的所見

身長163cm、体重 76kg、体表面積 1.78m2 。腹部平坦で身体的所見において手術痕以外に異常を認めない。食事摂取も普通、排便も順調である。PS 0、KPS 90%。

検査所見

治療開始時の血液検査所見

【血液学的検査】 【生化学的検査】    
WBC 7,620/μL TP 8.1g/dL BUN 17.6mg/dL
RBC 411 × 104/μL Alb 3.6g/dL Crea 1.4mg/dL
Hgb 10.4g/dL T-bil  0.8mg/dL Na 143.1mEq/L
Plt 33.3 × 104/μL   D-bil  0.5mg/dL K 4.5mEq/L
AST 89 IU/L Cl 107.0mEq/L      
HBVAg (−) ALT <3 IU/L CRP 2.3mg/dL
HCVAb (−) LDH >785 IU/L T-cho 283mg/dL
W氏 (−) ALP 134 IU/L CPK 107 IU/L
HIV (−) BS 134mg/dL Ca 9.2mg/dL
        Amy 111 IU/L
        γ-GTP  157 IU/L

画像検査所見:肝両葉に多発する(10個以上)転移巣を認める。

【臨床経過】

2007年1月、FOLFIRI療法開始(1日目)。
  LV 200mg 2時間投与
CPT-11 150mg 90分投与
5-FU 400mg 急速静注
5-FU 2,400mg 46時間持続静注
4日目 泥状便13回、肛門周囲痛発症のため緊急入院
WBC 4,080、Neut 2,138、Plt 36.4、BUN 55.0、Cre 2.0
8日目 水様便9回 肛門周囲痛悪化 全身状態悪化 食事不可
WBC 1,070、Neut 283、Plt 15.7、CRP 6.2、BUN 90.1、Cre 3.7
12日目   水様便10回
WBC 577、Neut 23、Plt 4.3、CPP 15.1、体温38.4℃、BUN 32.1、Cre 1.1、PT 42
23日目 泥状〜有形便7回
WBC 13,300、Plt 35.7、CPP 4.7、体温36.8℃
38日目 腹部CT検査で明らかな肝転移縮小が認められた。

論点

1) 副作用対策について
・4日目の時点で実施する副作用対策は何か
・8日目の時点で実施する副作用対策は何か
・12日目の時点で実施する副作用対策は何か
2) 38日目の結果をもって以後の治療方針は何にするか
3) UGT1A1遺伝子等をCPT-11投与前に測定する臨床的意義と実際について

出題:佐藤先生

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