レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

SOX:S-1+Oxaliplatin(L-OHP)

*S-1の用量は体表面積(m2)により調整
<1.25=40mg×2; 1.25−<1.50=50mg×2; ≧1.50=60mg×2

Yamada Y, et al.: Ann Oncol. 26(1): 141-148, 2015

S-1+Oxaliplatin(SOX)療法は、HER2陰性の切除不能進行・再発胃癌の1次治療として推奨されるフッ化ピリミジン系+プラチナ系薬剤併用レジメンの一つである(胃癌治療ガイドライン:エビデンスレベルB)。
本邦で切除不能進行・再発胃癌の初回治療例を対象としてSOX療法のS-1+Cisplatin(SP)療法に対する非劣性が検討されたG-SOX試験(第III相試験)では、SOX療法はSP療法と有効性がほぼ同等であることが検証され、重篤な毒性の頻度が低く外来投与が容易である特徴をもつ。一方、感覚性神経障害の頻度が高く、毒性プロファイルに応じてSOX療法もしくはSP療法が選択される。

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◆G-SOX試験1)

切除不能進行・再発胃癌患者における1次治療としての、SP療法(n=342)に対するSOX療法(n=343)の非劣性を検討した第III相試験である。

■有効性

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)・全生存期間(OS)において、PFS中央値はSOX群5.5ヵ月、SP群5.4ヵ月(HR=1.004、95%信頼区間:0.840-1.199、Pnon-inferiority=0.0044)とSP療法に対するSOX療法の非劣性が示された。OS中央値はSOX群14.1ヵ月、SP群13.1ヵ月(HR=0.969、95%信頼区間0.812-1.157)で95%信頼区間の上限は非劣性マージン1.15をわずかに上回り、厳密には統計学的に非劣性が検証されなかったものの得られた結果はほぼ同等と考えられた。
奏効割合はSOX群55.7%、SP群52.2%、disease control rateはSOX群85.2%、SP群81.8%であった。
OSのサブグループ解析では、腹膜播種を有するグループにおいて、SOX群がSP群に対し有意に良好であった(HR=0.646、95%信頼区間:0.433-0.964、Pinteraction=0.032)。

  SP
(n=342)
FP
(n=343)
HR
(95% CI)
P値
PFS 5.4ヵ月 5.5ヵ月 1.004
(0.840-1.199)
0.0044
(non-inferiority)
OS 13.1ヵ月 14.1ヵ月 0.969
(0.812-1.157)
0.0583

■安全性

Grade 3以上の好中球減少(SP群41.8% vs. SOX群19.5%)、白血球減少(19.4% vs. 4.1%)、貧血(32.5% vs. 15.1%)、発熱性好中球減少症(6.9% vs. 0.9%)、低ナトリウム血症(13.4% vs. 4.4%)の頻度がSOX群で有意に低かったが、Grade 3以上の感覚性末梢神経障害(0% vs. 4.7%)はSOX群で有意に高かった。また重篤な有害事象はSOX群で有意に少なかった(37.9% vs. 29.3%)。

レジメン解説執筆:国立がん研究センター中央病院 消化管内科 谷本 泉 先生

Reference

  • 1) Yamada Y, et al.: Ann Oncol. 26(1): 141-148, 2015[PubMed
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