レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

FLTAX:5-FU/LV+Paclitaxel(PTX)

Matsubara J, et al.: Oncology. 81(5-6): 291-297, 2011
Iwasa S, et al.: Jpn J Clin Oncol. 42(9): 787-793, 2012
Yamaguchi K, et al.: J Clin Oncol. 37(4_suppl): Abstract #80, 2019

FLTAX療法は5-FU/LVにPaclitaxel(PTX)を加えた治療法で、Matsubaraらにより切除不能胃癌に対して第I相1)および第II相2)試験が行われた。第II相試験においては、奏効割合42.9%、無増悪生存期間(PFS)6.8ヵ月、全生存期間(OS)16.2ヵ月と有望な結果であった。また、FLTAX療法は全て静注で施行可能なため、経口抗癌剤の内服困難症例や大量輸液が必要なCisplatinの投与が困難な大量腹水症例に対しても投与可能であった。それらの結果をもとに、経口摂取不能または高度腹膜転移を有する胃癌患者に対するFLTAX療法の安全性試験3)がIwasaらにより行われ、続いて同対象に第II/III相試験としてJCOG1108/WJOG7312G試験4)が行われた。

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◆安全性試験3)

Iwasaらの安全性試験の結果において推奨薬剤投与量は5-FU:500mg/m2 bolus、l-LV:250mg/m2 120min IV、PTX:60mg/m2 60min IVとされ、投与スケジュールは週1回投与、3週投与1週休薬とされた。腹水に対する奏効割合が44%に得られ、PFSは4.2ヵ月、OSは8.0ヵ月であった。

◆JCOG1108/WJOG7312G試験4)

高度腹水または経口摂取不能の腹膜転移を有する胃癌患者に対する1次治療として、5-FU/LV療法と5-FU/LV+Paclitaxel(FLTAX)療法の安全性と有効性を検証する第II/III相試験が行われた。

■有効性

JCOG1108/WJOG7312G試験4)におけるFLTAX群の有効性はOS 7.3ヵ月、PFS 5.4ヵ月、腹水に対する奏効割合36.2%、8週での治療継続割合66.7%であった。

  n RR PFS OS
Matsubara J, et al.2) 35 42.9% 6.8ヵ月 16.2ヵ月
Iwasa S, et al.3) 25 44.0% 4.2ヵ月 8.0ヵ月
JCOG1108/WJOG7312G4) - 36.2%
(n=47)
5.4ヵ月
(n=50)
7.3ヵ月
(n=50)

*腹水に対する奏効割合

■安全性

JCOG1108/WJOG7312G試験4)のFLTAX群におけるGrade 3以上の有害事象割合は好中球減少20.8%、ヘモグロビン低下25.0%、食欲不振31.3%、下痢6.3%などであった。

レジメン解説執筆:大阪医科大学附属病院 化学療法センター 山口 敏史 先生

References

  • 1) Matsubara J, et al.: Jpn J Clin Oncol. 38(8): 540-546, 2008[PubMed
  • 2) Matsubara J, et al.: Oncology. 81(5-6): 291-297, 2011[PubMed
  • 3) Iwasa S, et al.: Jpn J Clin Oncol. 42(9): 787-793, 2012[PubMed
  • 4) Yamaguchi K, et al.: J Clin Oncol. 37(4_suppl): Abstract #80, 2019
関連リンク
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