Weekly Paclitaxel(PTX)単剤
Hironaka S, et al.: J Clin Oncol. 31(35): 4438-4444, 2013 |
Weekly Paclitaxel(wPTX)療法は、4週ごとにPTX 80mg/m2をday 1, 8, 15に静注する治療法である。
もともと、胃癌におけるPTX療法の保険承認用量・用法は3週間ごとに210mg/m2を点滴静注する方法であったが、好中球減少と消化器毒性の軽減を狙ったwPTX療法が実地臨床で汎用されており、胃癌の二次治療でwPTX療法とIrinotecan(CPT-11)単剤療法を比較したWJOG 4007試験1)においても標準治療群とされた。2015年3月からは保険償還可能となっている。
◆WJOG 4007試験1)
WJOG 4007試験は、フッ化ピリミジンとプラチナ系薬剤の併用療法に不応となった切除不能・再発胃癌患者に対する、2次治療としてのwPTX療法に対するCPT-11単剤療法の優越性を検証した比較試験である。日本国内の37施設で223例が登録され、111例がwPTX群に、112例がCPT-11群に無作為に割り付けられた。
■有効性
主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値はwPTX群で9.5ヵ月、CPT-11群で8.4ヵ月であり、CPT-11の優越性は証明されなかった(HR=1.13、95% CI: 0.86-1.49、p=0.38)。無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ3.6ヵ月、2.3ヵ月(HR=1.14、95% CI: 0.88-1.49、p=0.33)、奏効割合も20.9%、13.6%と有意差は認められなかった(p=0.24)。3次治療への移行割合はCPT-11群で72.1%であったのに対し、wPTX群では89.8%と有意に高率であった(p=0.001)。
CPT-11 (n=111) |
wPTX (n=108) |
HR (95% CI) |
P値 | |
OS | 8.4ヵ月 | 9.5ヵ月 | 1.13(0.86-1.49) | 0.38 |
PFS | 2.3ヵ月 | 3.6ヵ月 | 1.14(0.88-1.49) | 0.33 |
奏効割合 | 13.6% | 20.9% | - | 0.24 |
■安全性
wPTX群、CPT-11群両群で多く認められたGrade 3/4の有害事象は、白血球減少(wPTX群20.4% vs. CPT-11群19.1%)、好中球減少(28.7% vs. 39.1%)、貧血(21.3% vs. 30.0%)であった。発熱性好中球減少症(2.8% vs. 9.1%)、食欲不振(7.4% vs. 17.3%)、低ナトリウム血症(3.7% vs. 15.5%)はCPT-11群で多く、感覚性神経障害(7.4% vs. 0%)はwPTX群で多かった。
レジメン解説執筆:東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科 西村 尚 先生
Reference
- 1) Hironaka S, et al.: J Clin Oncol. 31(35): 4438-4444, 2013[PubMed]
- 副作用対策講座「末梢神経障害」
GI cancer-net
消化器癌治療の広場