Weekly Paclitaxel(PTX)+Trastuzumab(Tmab)
Nishikawa K, et al.: Int J Cancer. 140(1): 188-196, 2017 |
Weekly Paclitaxel(PTX)+Trastuzumab(Tmab)療法は、Tmabの前治療のない、切除不能進行・再発HER2陽性胃癌患者に対する2次治療以降の治療法として、本邦での第II相多施設コホート試験JFMC45-1102(n=47)で有効性と安全性が示された。
◆JFMC45-1102試験1)
JFMC45-1102試験は単アームの第II相試験で、Tmabの治療歴のないHER2強陽性(IHC3+、または、IHC2+かつFISH陽性)患者を対象に、2次治療として用いられているweekly PTX療法へのTmabの上乗せ効果が検証された。ORR=37%、PFS中央値5.1ヵ月、OS中央値17.1ヵ月と、従来のweekly PTX療法と比して良好な治療成績であった。
◆T-ACT試験2)
乳癌で有用性が証明されている、前治療からのTmab継続投与を、胃癌において検討した試験。初回治療にてTmabを含むレジメンを用いた患者をweekly PTX群と、weekly PTX+Tmab群に分けて検討されたが、Tmabの上乗せ効果は示されなかった。
■有効性
JFMC45-1102試験には47例が登録され、主要評価項目であるORRは46例中CR 1例(2.2%)、PR 16例(34.8%)で37%(95% CI: 23-52)であった。SDは21例であったため、DCRは82.7%であった。副次評価項目であるPFS中央値は5.1ヵ月(95% CI: 3.8-6.5)、OS中央値は17.1ヵ月(95% CI: 13.5-18.6)、TTF中央値は5.1ヵ月(95% CI: 3.7-6.5)であった。
Weekly PTX+Tmab | 95% CI | |
ORR | 37% | 23-52 |
PFS | 5.1ヵ月 | 3.8-6.5 |
OS | 17.1ヵ月 | 13.5-18.6 |
TTF | 5.1ヵ月 | 3.7-6.5 |
■安全性
Grade 3以上の有害事象は、頻度が多い順に、好中球減少(32.6%)、貧血(15.2%)、低Alb血症(8.7%)、AST/ALT上昇(6.5%/4.3%)、感覚性末梢神経障害(6.5%)であった。Tmab使用時に注意すべきinfusion reaction(全Grade)は8.7%に認められたがGrade 3以上は認められなかった。また、心毒性も1例も認められなかった。
レジメン解説執筆:埼玉医科大学国際医療センター 消化器腫瘍科 堀田 洋介 先生
References
- 副作用対策講座「末梢神経障害」
- 副作用対策講座「インフュージョンリアクションとアレルギー反応」
GI cancer-net
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