Panitumumab単剤
Van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 25(13): 1658-1664, 2007 |
Panitumumabは、米国アムジェン社(旧Abgenix社、Immunex社)がXenomouse®技術を用いて開発した高親和性のIgG2サブクラスのヒト型モノクローナル抗体である。PanitumumabはEGFRに結合し、内在性リガンドのEGFRへの結合と、その後に続くEGFRを介したシグナル伝達を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
欧米では、2006年9月(米国)および2007年12月(EU)に承認された。本邦においては、2010年4月「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を対象に、一次治療、二次治療、三次治療以降の治療薬として承認された。
◆20020408試験
20020408試験は、標準的化学療法の治療歴を有するEGFR陽性の切除不能進行再発大腸癌患者に対する3rd-lineとしてのPanitumumab単剤投与の有用性を比較・検討した海外無作為化比較第III相試験である。患者はPanitumumab+best supportive care(BSC)群およびBSC単独群に無作為に割り付けられた。
■有効性
主要評価項目であるprogression-free survival(PFS)の中央値はPanitumumab投与群が13.8週、BSC単独群が8.5週であり(HR=0.54, 95%CI: 0.44-0.66, p<0.0001)、Panitumumab投与群において有意な延長が認められた1)。また、二次エンドポイントである奏効率(RR)はそれぞれ10%、0%(p<0.0001)であった。
なお、overall survival(OS)の中央値はPanitumumab投与群が6.4ヵ月、BSC単独群が6.3ヵ月であり、有意差は認められなかった(HR=1.00, 95% CI: 0.82-1.22, p=0.81)。これについてはBSC単独群の76%がPD後にPanitumumabの投与を受けており、クロスオーバーによってBSC群もPanitumumabのベネフィットを得たことが一因と考えられた。
本試験の結果をもとに、欧米でPanitumumabが承認されることとなった。
20020408試験のレトロスペクティブな追加解析(KRAS status別)は下表の通りである2)。
KRAS 野生型(n=243) | KRAS 変異型(n=184) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Panitumumab +BSC (n=124) |
BSC単独 (n=119) |
p値 | HR (95% CI) |
Panitumumab +BSC (n=84) |
BSC単独 (n=100) |
p値 | HR (95% CI) |
|
PFS中央値 (週) |
12.3 | 7.3 | <0.0001 | 0.45 (0.34-0.59) |
7.4 | 7.3 | - | 0.99 (0.73-1.36) |
OS中央値 (月) |
8.1 | 7.6 | - | 0.99 (0.75-1.29) |
4.9 | 4.4 | - | 1.02 (0.75-1.39) |
奏効率 | 17% | 0% | - | 0% | 0% | - |
■安全性
Grade 3/4の主な有害事象の発現頻度は下表の通りである(Panitumumab群で5%以上みられたものを抜粋、KRAS status問わず)1)。KRAS status別では、Grade 3/4の有害事象はKRAS 野生型で44%、変異型では28%、Panitumumabに関連したGrade 3の有害事象は各々25%、12%に認められた2)。
Reference
- 副作用対策講座「皮膚障害-1 分子標的薬の皮膚障害」
GI cancer-net
消化器癌治療の広場