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ASCO2008 | American Society of Clinical Oncology 44th Annual Meeting 2008 May 30th - Jun 3rd at Chicago,Illinois

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現地座談会

大腸癌の術後補助化学療法に関する注目演題
5-FUのbolus投与 vs. 持続静注、L-OHPの上乗せ効果

坂本 NSABP C-07試験(#LBA4005)も重要な発表でしたね。

野澤 この試験は stageII/III結腸癌に対する術後補助化学療法としての5-FU/LV(RPMI)と、RPMI にL-OHPを追加したFLOXとの比較です。5年OSはRPMIで78.3%、FLOXで80.3%、6年OSはそれぞれ73.5%、77.7%と有意差はありませんでした。5年 DFSはRPMIで64.2%、FLOXは69.4%と有意差を認めました。

坂本 NSABP C-07試験とMOSAIC試験が別々に実施され、しかも、ほぼ同時に発表されたということはきわめて大きな意義があると思います。

大村 MOSAIC試験はFOLFOX4とLV5FU2の比較で、NSABP C-07試験と同じく併用薬は L-OHPです。3年を経過した時点では、DFSで評価した両試験におけるL-OHPの上乗せ効果は同等でした。一方、NSABP C-07試験では5年OSにはわずかに有意差が認められませんでしたが、MOSAIC試験では6年OSにぎりぎりですが有意差を認めました(FOLFOX4:78.6%、LV5FU2:76.0%、p=0.046)。

寺島 ただ、NSABP C-07試験のOSも観察期間を延長すれば、有意差を生じる可能性が高いと思われます。

大津 まったく別の試験で、L-OHP のプロトコールも違うのに、5年OSがほとんど1%しか差がないというのは驚くべきことですね(NSABP C-07試験 FLOX:80.3%、MOSAIC試験 FOLFOX4:81.3%)。

瀧内 DiscussantのGoldberg先生は、「5-FUの投与法に関係なく上乗せ効果があるということで、今後はXELOXも同じようなデータになる可能性が高い」とコメントされていました。

高石 日本ではまだ L-OHPは術後補助化学療法としては承認されていないので、これをどうやって実施臨床に応用していくかが問題ですね。術後補助化学療法は残存腫瘍の有無がわからない症例に対して行うわけですので、L-OHPの神経毒性などによるQOLの低下を避けるために、この程度の差であれば最初は5-FU/LVを行い、再発してから L-OHPなどを使うという考え方もあるのかなと思います。

大村 5年OSで判断した場合、NSABP C-07試験で5-FU/LVにL-OHP を上乗せした恩恵に与かっているのはわずか2%ですから、高石先生のような考え方も成り立つと思います。

寺島 欧米と日本ではベースラインが若干異なり、日本では手術単独でもこの程度の成績が得られているので、そちらも考慮しなくてはいけません。

坂本 5-FUのbolus投与と持続静注に関しては、これまでも多くの比較試験が行われてきましたが、今回の成績をみる限りあまり差がないようですね。

瀧内 はい。発表でもそのように結論されていましたし、discussantの意見も「術後補助化学療法では5-FUの投与法は関係ない」ということでした。間もなく出てくるであろう5-FU経口薬のデータも同様であれば、術後補助化学療法では5-FUの投与法に限らず、L-OHPの上乗せ効果が得られることが証明されることになります。

3年DFSとOSの関係をめぐって bevacizumabの併用効果
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