坂本 最後に食道癌について、JCOG 9907試験(#4510)を高石先生にご紹介いただきたいと思います。
高石 JCOG 9204試験により、stage II/IIIの食道癌患者に対して5-FU+CDDP(FP)を用いた術後補助化学療法を行ったほうが、手術単独よりもDFSがよいというデータが出たことを受け、FPによる補助化学療法のより効果的な施行時期を検証するために行われたのがJCOG 9907試験です。その結果、術前に補助化学療法を施行したほうが、術後補助化学療法に比較して、OSにおいて優れていました。今後、stage II/IIIの食道癌患者は、まず内科で術前補助化学療法を施行してから、外科で手術をするようになるのかなと思いながら、この発表を聞いていました。
坂本 330 例というのは、食道癌の臨床試験としては途方もない数ですね。
大津 この試験のもともとの一次エンドポイントはPFSだったのですが、中間解析で術前施行群のOSが有意に上回ったために中止されました。ただ、生存曲線はPFSが開いてからOSが開くというパターンが一般的なので、少し不安があります。
大村 ただ、これは扁平上皮癌ですからね。演者の井垣先生は最初に「日本は90%以上が扁平上皮癌であり、欧米のように腺癌と半々ではない」とことわったのですが。
寺島 この試験は、インフォームドコンセントをとるのが非常に大変だったのではないかと思います。同様の試験をもう一度日本で行うのは、デザイン的に難しいでしょうね。
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