2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会 特別企画座談会 切除不能大腸癌治療における分子標的薬の位置づけ

?	切除不能大腸癌治療におけるVEGF阻害薬を中心とした分子標的薬の役割 Short Lecture-1 / Jeffrey A. Meyerhardt, MD, MPH

今後の展望

Jeffrey A. Meyerhardt, MD, MPH

 以上はすべてVEGF阻害薬のポジティブ試験ですが、ご存知の通り、ネガティブ試験も数多くあります。Bevacizumabを用いた試験では、stage II/III症例における術後補助化学療法で2試験 (NSABP C-08試験12)AVANT試験13))、1st-lineにおける抗EGFR抗体薬との併用療法で2試験 (CAIRO2試験14)、PACCE試験15)) あります。また、経口VEGF阻害薬と化学療法の併用試験 (PTK78716)、Sunitinib17)Cediranib18)等) はいずれもネガティブな結果でした。現在、Regorafenibと化学療法の併用を検討する無作為化第II相試験が進行中であり、その結果が注目されます。

 切除不能大腸癌治療におけるVEGF阻害薬の上乗せ効果は、当初期待されていたよりも小さく、化学療法剤との正の相互作用が存在するか否かも不明です。2nd-line以降の抗VEGF療法に関しては、TML試験の結果によってさらに複雑な様相を呈してきました。BBPを行うべきか、Afliberceptはどうか、またRegorafenibはいつどのような対象に投与すべきか――こうした問題が浮上してきます。

 今朝のoral sessionでは、ディスカッサントのAlan P. Venook先生から物議を醸しそうな発言がありましたね。1st-lineでVEGF阻害薬の投与は必須なのか、それとも2nd-lineで、あるいはBBPとして使用するほうがベネフィットを得られるのか、十分に議論する必要があると思います。

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