
日本における切除不能大腸癌に対する分子標的薬の使用はBevacizumab、抗EGFR抗体薬ともに増加の一途をたどっています。日本で使用頻度の高いレジメンを治療ライン別に紹介します。2011年度の調査によれば、1st-lineではL-OHPベースの化学療法+Bevacizumabが半数近くを占め、次いでFOLFOX単独、FOLFOX+Panitumumab療法、FOLFIRI+Bevacizumab療法という順になっています。2nd-lineで最も多いのはFOLFIRI+Bevacizumab療法で、BBPが含まれている可能性もあります。2nd-lineでは抗EGFR抗体薬の併用療法が多いのも特徴です。3rd-lineは抗EGFR抗体薬の単独投与と併用療法が中心です。
次に日本の新薬開発の状況を簡単にご紹介します。Meyerhardt先生のレクチャーにも出てきましたが、Regorafenibの国際共同第III相試験であるCORRECT試験には日本から100例が登録され、信頼性の高いデータを得ています。 そのほか、VEGF阻害薬のRamucirumabや日本で創薬されたTAS-102の国際共同第III相試験も進行中です。
TAS-102は新規のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、当初、北米で行われた第I相試験の最大耐用量 (MTD) は50 mg/m2/日でしたが20)、日本の第I相試験では70 mg/m2/日でした21)。その後、切除不能大腸癌のサルベージラインとしてTAS-102の単剤投与を検討するプラセボ対照無作為化第II相試験が行われ、PFS、OSともに有意な延長が得られました22)。明日(6月4日)のposter sessionでは、標準治療不応の切除不能大腸癌を対象とした米国での第I相試験の結果が報告されますが、abstractによるとMTDは日本と同じ70mg/m2/日で、忍容性も良好とのことでした23)。まもなく国際共同第III相試験が開始される予定です。
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