2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会 特別企画座談会 切除不能大腸癌治療における分子標的薬の位置づけ

日本における切除不能大腸癌治療の現状 Discussion

馬場先生

馬場: ありがとうございます。日本では、1st-line治療としてL-OHPベース化学療法とBevacizumabの併用が多く使用されているということでしたが、Meyerhardt先生のMedicareデータの検討によれば、実臨床におけるBevacizumabの上乗せ効果はかなり限定されていますね7)。こうした日本での状況をどのように思われますか。

Meyerhardt: 細部の違いはありますが、やはり米国でも日本と似たような分布になると思います。米国でもFOLFOX / XELOXとBevacizumabの併用が中心で、化学療法はL-OHPベースが圧倒的多数を占めています。FOLFOXがこれほどまでに優勢となったのは、N9741試験の結果によるものだと思います。同試験ではFOLFOXはIFLより有意に優れていましたが24)、FOLFIRIに対する優越性を示したデータはありません。少しずつではありますが、最近は米国でもFOLFIRIが増えつつあります。

 FOLFOXとBevacizumabの併用療法は、E3200試験とNO16966試験が根拠になっていますが、我々のMedicareデータの検討と同様、どちらもBevacizumabの併用効果は限られています5,7,8)。私は抗EGFR抗体薬と化学療法の相互作用は存在すると確信しており、特にCPT-11との併用では効果が増強されると考えています。しかし、前臨床ではBevacizumabとL-OHP / CPT-11との間に相互作用は認めておらず、相互作用が存在するのかは疑問です。

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