現地座談会

1st-lineの維持療法とchemo holidayの意義

Discussion

室:2つの維持療法の比較試験を受けて、どのように考えられますか。

佐藤 (温):維持療法とchemo holidayの2つのポイントがありますが、chemo holidayに関してはOPTIMOX2、CAIRO3試験SAKK41/06試験のいずれにおいても否定されたということで一致していますね。

室:そうですね。CAIRO3試験でも経過観察に対する優越性が示されました。ただ、大村先生が指摘されたようにOSの有意差は認められていないので、議論のあるところだと思います。

大村:実臨床ではchemo holidayを置かざるを得ない患者も存在しますしね。

室:つまり、計画的にchemo holidayを設けることは否定されたものの、OSの差が大きくないことを鑑みれば、状況に応じて休薬することは許容されるということでしょう。

佐藤 (温):CAIRO3試験の維持療法では、Capecitabineが通常の用量 (2,000mg day1-14, 3週毎) とは違い、1,250mgの連日投与になっています。この連日投与が手足症候群の発現率を高めたのではないかと思われます。

室:確かに、維持療法に馴染みのない治療レジメンが使用されていることは、課題として挙げられるでしょう。

中島:維持療法については、Bev単独、Capecitabine単独、Capecitabine + Bevのどれがいいのかは、結論は出ていませんね。

室:AIO-ML2176試験1) がまさにそれを検証中です。フッ化ピリミジン製剤 + L-OHP + Bevによる治療後の維持療法として、フッ化ピリミジン製剤 + BevとBev単剤と無治療とを比較した試験で、今年のESMOに発表される予定です。

佐藤 (温):今回の発表では維持療法のレジメンにまでは踏み込めていませんが、維持療法の意義はあるのでしょう。そして、恐らく経口のフッ化ピリミジン製剤と分子標的薬の組み合わせに落ち着くのではないかと思います。

室:そうですね。特にL-OHPレジメンの神経毒性の軽減や、Bevは継続使用に特性があることを考え合わせれば、フッ化ピリミジン製剤 + Bevを有力な選択肢と考えていいのではないでしょうか。

吉野:Capecitabineの用量はどうですか。

室:CAIRO3試験の結果を受けて1,250mgの連日投与を行うことはあり得ないと思うので、個人的には通常の用量でいいのではないかと考えます。

Lessons from #3502 / #3503
  • CapeOx + Bev療法6サイクル後のCapecitabine + Bevによる維持療法は有効な方法と考えられるが、有害事象や再導入率の低さなどから、維持療法のレジメンについては今後の課題である。[#3502]
  • Bevを含む1st-line後のBev維持療法に対するchemo holidayの非劣性は示されなかったが、OSには有意差がなかったことから医療費やchemo holiday中のQOLも合わせて判断しなければならない。[#3503]
  • 今回の結果から、計画的にchemo holidayを設けるべきではないと考えられるが、実臨床では個々の患者の状況に応じてchemo holidayを置くことは許容されるだろう。

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